巨人と日本ハムの比較で見える、“人が育つ”組織論

2017/6/21

若手育成の失敗

セ・リーグの盟主・巨人が不調にあえいでいる。
交流戦中に42年ぶりの球団記録更新となる13連敗を喫し、リーグ4位に低迷。投打がまったくかみ合わず、ベンチが施す手の多くが裏目に出る。就任して2年余の堤辰佳GM(ゼネラルマネジャー)が自ら職を辞するなど、現状は深刻だ。
いったい何が巨人をこれほど失墜させたのだろうか。
その要因の一つとして挙げられるのが、若手育成の失敗だ。坂本勇人以降、高卒の選手が一人もレギュラーとして育っておらず、FAや外国人に頼ってきたツケがチーム力の弱体化を招いている。
2012年シーズンにFAで加入した村田修一。今季は開幕からスタメンを外れる試合が続いた
その象徴的な試合となったのが、6月11日の北海道日本ハムファイターズ戦だ。
巨人に入団しながら活躍できずに日本ハムに移籍したかつてのドラフト1位の2人の活躍により、試合に敗れたのだ。
2008年ドラフト1位で入団した大田泰示に前日に引き続き本塁打を許すと、先発した2007年大学・社会人ドラフト1位の村田透に5回1失点に抑えられて勝利を献上。村田はたった3年で巨人を戦力外になり、アメリカ挑戦を経て苦節10年目のプロ初勝利だった。
巨人が育てられなかった選手が、日本ハムでは躍動する。若手育成において巨人と日本ハムに大きい差があることを示した試合と言って良かった。
では、実際問題として巨人と日本ハムの間に、どのような違いがあるのだろうか。
「スカウティングと育成」をチームの基本理念としている日本ハムの育成を基に、両チームがこれまで取り組んできたチームづくりを検証してみた。

大人数の強みか、少数精鋭か