Airbnbの支援プログラムから、深刻化する“環境難民”を考える

2017/6/14
NewsPicksは、J-WAVE「STEP ONE」(毎週月~木 9:00~13:00)と連携した企画「PICK ONE」(毎週月~木 11:10~11:20)をスタートしました。
14日は、RCF代表の藤沢烈さんが出演。「Airbnb、難民への無料宿泊提供プログラム立ち上げ」(ITmedia)を題材に、Airbnbの取り組みと難民の現状について解説しました。

Airbnbの難民支援

サッシャ 今日は、「Airbnb、難民への無料宿泊提供プログラム立ち上げ」というトピックにフォーカスです。
寺岡 解説してくださるのはNewsPicksの公式コメンテーター「プロピッカー」の藤沢烈さんです。
藤沢さんはマッキンゼー・アンド・カンパニーを経て、東日本大震災後、震災復興のための調査団体としてRCFを設立。
現在は復興事業の立案・関係者調整を担う「復興・社会事業コーディネーター」として活躍されています。おはようございます。
藤沢 おはようございます。
サッシャ まずは、改めて「Airbnbとは何か」から教えていただけますか?
藤沢 Airbnbとは、空き部屋を貸したい人であるホストと、借りたい旅人であるゲストをマッチングする、世界最大のインターネットサービスのことです。
サッシャ 外国では割とすぐに浸透したのですけれど、日本の場合は民泊が結構制限されていて、問題になっていますよね。
藤沢 法的には少しグレーだったんですが、先日ようやく民泊が法律で認められたので、来年からは大きく進むと思います。
現在、日本でも外国の方を中心に、年間400万人に使われているサービスとなっています。
サッシャ 僕も、最近はAirbnbを見て、「ホテルとどっちがリーズナブルかな」とチェックします。
寺岡 長期とかだと、いいですよね。
藤沢 私も日本で泊まり、面白い体験ができていますね。ホストの方が料理を出してくれたこともあります。おいしかったですね。
サッシャ へえー。まさにB&B(bed and breakfast)ですね。
そんな中、今回Airbnbが世界中の難民に無料で部屋を提供するプログラムを立ち上げたんですね。
藤沢 ちょうど一週間前に発表されました。いま、難民の方は世界中に約6,000万人いると言われています。
この方々に対して、Airbnbのホストが登録すれば、無料で部屋を提供できるというプログラムなんです。
サッシャ これは一時的ですか? 期限はあるのでしょうか。
藤沢 ホストによりますので、一泊の提供でも、3か月間でもいいわけです。

支援プログラムが生まれた経緯

サッシャ これは、どういう経緯で始まったのでしょうか。
藤沢 2012年に、アメリカで「ハリケーン・サンディ」という大きな災害がありました。
ニューヨークなどに被害が出たのですが、この時にAirbnbのホストが「被災者に部屋を提供したい」となったところ、即座にAirbnb側が被災者向けのプログラムを立ち上げました。これが最初のきっかけです。
サッシャ では、元々はアメリカ国内で災害にあった方が対象だったんですね。
藤沢 はい。その後、そうした災害が起きるたびにやっていたのですが、今回は恒久的なサービスとして行うようになったんです。
サッシャ これは、日本でも登録できるんですか?
藤沢 できます。実は、もう日本ではこうした事例があります。
サッシャ えっ、そうなんですか?
藤沢 1年前に熊本地震がありましたよね。あのときにこれを使ったんです。
サッシャ Airbnbがサービスを解放したんですか。
藤沢 はい。登録すれば、熊本の被災者の方が使っていただけるようにしたので、日本では経験済みなんです。
サッシャ 実際には、どれくらいの反響があったんですか?
藤沢 数は多くないですが、何人かの方は実際に使われたようです。
サッシャ これに関しては、日本でも広がるんですかね?
藤沢 日本の場合は、難民をなかなか受け入れていないところはありますが、災害などが起きた場合には使ってもらおう、となっています。
私は災害時のサポートをする団体に所属していますが、Airbnbや自治体と話をして、次に災害が起きた場合には即座に使ってもらおうと、普及について進めています。
サッシャ トラブルはないのでしょうか?
藤沢 そうですね。基本は、Airbnbで泊まることと同じです。
難民の方に関しては、国際機関がケアをしてマッチングを行います。
サッシャ 日本では難民をなかなか受け入れてはいませんが、国内の災害においてはいいかもしれませんね。

“環境難民”が1億人の時代

藤沢 難民は、どうしても戦争のイメージが強いと思うんですけれど、実は環境問題と難民ってすごく関係があるんです。
「環境難民」という言葉を使うこともありますけれど、災害や気候変動で住めなくなる方がすごく増えているんです。何人くらいいらっしゃると思いますか?
サッシャ それは、ツバルのように海面が上昇するようなところに住む人も、含むんですか?
藤沢 そうですね、他には砂漠化なども含みます。
サッシャ テリー(寺岡)、何人くらいだと思う?
寺岡 難民の6,000万人より多いことはないですよね。100~200万人くらいかな。
藤沢 2,400万人なんです。
寺岡 ええっ、そうなんだ。
藤沢 しかも、数は増えていて、温暖化が進んで数十年経つと、1億人くらいになると言われています。実は、戦争による難民よりも増えるんじゃないか、と。
ですから、環境問題と難民はすごく近い話なんです。
サッシャ その人たちが移り住まなくちゃいけない状況が生まれるわけですね。
さらに、国内だけで対応できなくて、ツバルのように国ごと沈むんじゃないかと言われているような場合は、国外を考える必要もあると。
藤沢 そうですね。もちろんAirbnbですべてを解決することはできませんが、10万人をサポートする計画を立てていますから、結構インパクトがあると思いますね。
サッシャ そこから世の中が変わってくる可能性があるわけですね。
藤沢 一般の方が、難民を直接支えられる仕組みは、とても素晴らしいと思います。
サッシャ 日本の空き家なども、こういうものにどんどん登録すればいいのにね。
藤沢 そうなんですよね。東日本大震災の避難者は、まだ約10万人います。そういった方々への住宅サポートなどにも使えたらいいなと思います。
サッシャ なるほど。まずは、気楽な旅行でAirbnbを使ってみるところから、始めてみるといいかもしれないですね。
藤沢 そうですね。慣れてみるといいと思います。その先に、「社会問題の解決のために家を貸そう」となると、とてもいいなと思います。
サッシャ 身近でできる人助けになるかもしれませんね。藤沢さん、どうもありがとうございました。
藤沢 ありがとうございました。
※本記事は、放送の内容を再構成しています。
今回のニュースをはじめとした藤沢さんのコメントは、ぜひ以下からチェックしてみてください。
15日は国際環境経済研究所の竹内純子さんが出演予定です。こちらもお楽しみください。

【番組概要】放送局: J-WAVE 81.3FM
番組タイトル: PICK ONE
ナビゲーター: サッシャ、寺岡歩美(sugar me)
放送日時: 毎週月~木曜日11:00~11:20(ワイドプログラム『STEP ONE』内)
番組WEBサイトはこちらをご覧ください