【平野啓一郎】オートメーション化する社会の「人間の自由」

2017/6/11
オートメーション化する社会
「リチャードとも、そういう話を随分としたのよ。グローバル化されたこの世界の巨大なシステムは、人間の不確定性を出来るだけ縮減して、予測的に織り込みながら、ただ、遅滞なく機能し続けることだけを目的にしている。紛争でさえ、当然起きることとして前提としながら。善行にせよ、悪行にせよ、人間一人の影響力が、社会全体の中で、一体何になるって。」(『マチネの終わりに』)
私は『ドーン』という2030年代の有人火星探査を主題とした小説を書いたとき、約3年に及ぶ地球と火星との往復ミッションで、一番の失敗の「リスク」は、実は宇宙船自体よりも、乗っている人間のほうではないかと考えた。