【松尾豊】年俸3000万円。AIがもたらす「新たな下克上」 

2017/6/8
ディープラーニングがもたらす変化の本質とは何か。われわれの生活、ビジネス、仕事はどう変わるのか。世界のAI競争で日本が勝てる領域はあるのか?AIとウェブ、ビジネスモデルを研究する東京大学の松尾豊准教授が、AI、ロボットが生む巨大マーケットで成功するためのポイントを説く。

AIはスポーツと同じ

──ディープラーニングにおいて「20代が最強である」理由は、プログラミングでも20代が最強なのと同じでしょうか?
私はAIに長く携わってきましたが、「なぜ年上の人が偉そうにするんだろう」といつも不思議に思ってきました。プログラミングでも、AIでも若い人のほうができるのは当たり前の話です。
プログラミングやAIは、過去の技術を知っていても、あっという間に古くなってしまうので、今やり始めた人のほうが、1年後には圧倒的に強くなります。
要するに、技術のディスカウントレートが高いのです。
そうすると、蓄積よりも、今この瞬間に瞬発力を出せるほうが重要になります。それは、水泳やサッカーといったスポーツの世界でも同じです。年齢を重ねるにつれて衰えていくので、今この瞬間に若いほうが得だということです。