全人類がこれから味わう、プロがAIに敗れる「悲しみ」と「喜び」
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みなさん、落ち着きましょう。100年前から自動車はオリンピック金メダリストより速く走っています。ある機能に特化したマシンやアルゴリズムが人間を超えることは何の不思議でもない。人間の高度な汎用性と、不確定性へのロバスト性は、まだいかなる人工物も遠くおよびません。
もちろん、将来はそれすら機械が人間を超えるでしょうが、以前に何度も書いたけど、多くの仕事は人間が優秀であるからではなく、人が人にしてほしいと望むが故に残ります。それがいまだにオリンピックが消えない理由です。
【追記】アルファ碁の勝利の裏には、人間の研究者の創造性があることをお忘れなく。ですからこれは人間 vs AIの戦いというより、棋士 vs AI研究者の戦いです。このアルファ碁と柯潔さんの戦いの会場に入ったときに、ゾワっとくるような雰囲気を感じました。彼はわずか10歳ちょっとでプロ棋士になり、18歳で世界トップになった、名実ともにスター棋士です。
そんな彼が、手で頭を抱えて基盤をにらむ姿を前に、レポーターである私も震えるようなものを感じました。
一方、アルファ碁を開発したディープマインドのデミスは、人工知能は「ハッブル宇宙望遠鏡」のようなものだと語ったことも印象が深かったです。ようは地上からでは見えない、天体や銀河をとらえてくれている宇宙望遠鏡のように、アルファ碁もまた、囲碁の深さを知るための有意義な道具なんですよという説明だったのでしょう。
実際に、アルファ碁が登場してから、多くのプロ棋士の打ち方がかわったというのは、すごく示唆に富む話です。医師や弁護士、気象予報士まで、多くの専門職は、これからAIをどう受け止めるのかという気構えを、棋士に学べるのではないかと思いました。