グーグル、フェイスブックの研究者が「稼げる」理由

2017/5/29

日本人の精神構造の壁

成毛 単純に量子コンピューターの開発が遅れてることも理由のひとつですが、日本の研究環境もいびつですよね。
大関 悲しいかな事実です。みんな理解しているけれど殻を破らない。
たぶん他の分野に移ったら、仕事を失ってしまうという不安が根強いんですよね。民間の自動車メーカーの開発部門なら、センサー、タイヤ、エンジンと開発環境は全然違うはずなんですよ。でも当然エンジニアにも異動がある。それでも回るわけです。
大関真之(おおぜき・まさゆき)東北大学准教授
1982年東京出身。東京工業大学理学部物理学科卒業、2008年同大学院博士課程早期修了、駿台予備校非常勤講師、京都大学大学院情報学研究科助教、ローマ大学物理学科研究員を経て、東北大学大学院情報科学研究科准教授。博士(理学)。2016年文部科学大臣表彰若手科学者賞ほか受賞。著書に「量子コンピュータが人工知能を加速する」(共著)など。
僕を含め理論物理学者であれば方程式だったり、シミュレーション技術だったりは、分野は異なっても共通知として活用できます。
だから自動車開発みたいにフレームを共通化して、供給を部門ごとにすればもっと効率が良いのに、とは思いますね。あと人材の流動性も必要だと思います。
研究者だってたまには違うことやってみたいはずなんです。
成毛 自動車会社などで顕著な、たとえばエンジンの開発部門からモーターの開発部門に異動するというようなことがアカデミズムの世界でも、もっとあっていいはずですよね。