“育ち方のサンプル”を共有することが、生きやすさにつながる
2017/5/24
NewsPicksは、J-WAVE「STEP ONE」(毎週月~木 9:00~13:00)と連携した企画「PICK ONE」(毎週月~木 11:10~11:20)をスタートしました。
24日は、クラシコム代表の青木耕平さんが出演。「あえて高校に行かず15歳で『コーヒーショップ』を構えた少年」(ジモコロ)を題材に、多様性のあり方について解説しました。
多様性が育つ環境はあるのか
サッシャ 今日は、「あえて高校に行かず15歳で『コーヒーショップ』を構えた少年」というトピックにフォーカスです。
寺岡 解説してくださるのはNewsPicksの公式コメンテーター「プロピッカー」の青木耕平さんです。
青木さんは2006年、実妹である佐藤友子さんとクラシコムを共同創業しました。
その後、北欧雑貨専門のECサイト「北欧、暮らしの道具店」を開業し、現在はオリジナル商品の開発・販売など多岐にわたるライフスタイル事業を展開中です。おはようございます。
青木 おはようございます。
サッシャ まずは、どんな内容のニュースなんでしょうか?
青木 高校に行かない選択をした15歳の少年が、コーヒーショップを始めた話です。
洋服店を営む親御さんは、彼がコーヒーの焙煎に興味を持っていることに注目し、「お店をやってみたらいいんじゃないか」と提案して、お店のデザインやサービスについて相談しながら決めていったそうです。
15歳のお子さんに、一人でお店を運営するチャンスをあげたという素敵なお話だったので、ピックしました。
サッシャ 本人もですけど、親もすごいですよね。
青木 本当ですよね。
寺岡 逆に「今後、どうするのよ!」って、反対する立場ですよね。
サッシャ 「将来のことを考えて、とりあえず高校には行っときなさい」みたいなね。
ここで青木さんが注目したポイントはどこなんでしょうか?
青木 いま「多様性が必要だよね」と言われています。そのなかで、僕には10歳の息子がいるのですが「多様性が育つ環境って本当にあるのかな」と、思うことが多いんです。
要するに、子どもとして成長するルートは、多様性というよりは何となく“単一性”が強くて。
サッシャ 何となく大学まで行って、とかですね。
青木 それで、大人になってから「多様にやりなさい」と言われても、なかなか難しいなと思うんです。
この選択が、彼にとって将来どういう影響があるのかは、もちろんわからないわけですけれど、「色んな育ち方や学び方が世の中にあるんだよ」ということを僕たちが知ったり、それをきっかけに考えたりできることは、とてもいいことだなと思い、この記事に注目したんです。
若いときの商売はリスクが少ない
サッシャ 僕も子どもが二人いるんですけれど、父親という観点ではどうですか? まだ15歳になっていないから何とも言えないですけど、僕はこう言えないなあ。言えなそうな気がする。
青木 いやあ、本当ですね。ただ、自分がビジネスをしていて思うのは、ビジネス対ビジネスの競争があったとして、“優秀さ”で競争するのは、あまりいい手じゃないんですよね。
要するに、自分より優秀そうな人がいたら、その人が持っている優秀さに勝つというよりは、できれば「“違う優秀さ”で評価してもらえるように頑張ろう」みたいな方がいい。
サッシャ 違う個性で勝負する、と。
青木 そうですね。なので、そういう意味では、もし「学校の枠組みのなかで、うまくパフォーマンスできない」と思っている子がいたとしたら、その子に別の生存戦略を試す機会を与えることは、とてもいいことだと思います。
サッシャ とはいえ、結果論で考えるといいけど、リスクを考えると、おいそれとはね。
寺岡 ご両親のサポートやノウハウがあったうえで、できたのはありますよね。
サッシャ ご商売をやっているのは大きいでしょうね。
青木 大きいですね。ただ、大人になってから商売のトライをするくらいであれば、考え方によってはリスクが少ないとも言えるのではないかと思います。
自分で商売をやっていて思うのは、「商売は自転車に乗れるようになること」みたいだなということです。
自転車って、乗れたら初めて乗り方がわかるじゃないですか。頭では「漕ぐ」とか分かっていても。
商売も、たまたまうまくいと、どうやるのかが分かるところがあって。そういう意味では、15歳だと20歳までに3回くらい失敗できそうじゃないですか(笑)。
サッシャ なるほど(笑)。青木さんはおいくつのときに起業されたんですか?
青木 いまの会社を始めたのは34歳のときですね。
サッシャ 初めての起業ですか?
青木 それは3回目くらいだったんです。
サッシャ 起業って大変なイメージがあるんですけれど、青木さんにとってはどうですか?
青木 そんなに大変なことではない、と思っているんですよね。
サッシャ 1回目もですか?
青木 そうですね。僕は1回目も2回目も、そんなにうまくできた方ではなんです。
ただ、一生懸命やっても失敗するものは失敗するし、うまくいくものはうまくいくので、結局は打席に立つ回数が大事かなと思っています。
失敗することがすごくダメージになる人にとっては、大変かもしれないですけれど。
サッシャ あと、みんな失敗したときの金銭的な負債も気にしますよね。
青木 小さく始めれば、そんなに大した痛手にはならないので、無理しないで始めるのが一番いいんじゃないですかね。
サッシャ 等身大でやるっていうことですかね。最初から店内をゴージャスにして、バーンとやろうとすると大変だけれど。
青木 お店を始めるのなら、商品を一個だけ仕入れてメルカリで売ってみる、みたいなところから始めてもいいわけですよね。そんなに無理して始める必要はないし、合理性もありません。
もしかすると、「失敗しても痛くない方法で始めればいい」ということは、「失敗したからこそわかる」ことかもしれません。
“育ち方のサンプル”を共有する
サッシャ 青木さんが今回の記事で伝えたいところも、こうした点ですか?
青木 そうですね。加えると、多くの人が色んな“育ち方のサンプル”を共有することで、「色んな選択肢があるんだな」と思って生きられれば、気持ちが自由になりますよね。
「この手がダメならおしまいだ」と生きていくよりは、「こっちがダメでも、あっちがあるじゃん」と生きていく方が、イージーな感じで生きられるので、それは気持ちを楽にしてくれると思います。
サッシャ 僕らも一人でやってますからね。
寺岡 そうですね。好きなことを頑張って、仕事にしているタイプなのでグッとくるところはありますね。
サッシャ 個人的にはチャレンジすればいいとは思うんですけれど。怖いですよね。自分も、よくやってるなと思いますもん。怖いと思い始めたら多分できないな(笑)。
寺岡 私も一人でギターとか眺めながら、「私、何やっているんだろう」って思うとき、たまにあります(笑)。
サッシャ 色んな育ち方やバリエーションがあっていい、それが日本を豊かにすることにもつながるということですね。
青木 そうですね。そういう形で子どもには育ってほしいと思いますね。
サッシャ 何かみなさんのヒントになればいいですね。青木さん、ありがとうございました。
青木 ありがとうございました。
※本記事は、放送の内容を再構成しています。
今回のニュースをはじめとした青木さんのコメントは、ぜひ以下からチェックしてみてください。
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