「ブルゾンちえみ」が気になる理由をまじめに考えてみた
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小島よしおや8.6秒バズーカなどをブレイクさせた、今や恒例の若手芸人登竜門になりつつあるナイナイのお正月番組「おもしろ荘」。今年のお正月も、この番組でブルゾンちえみを観てから私も強く興味を持ち、その後の彼女のテレビ出演を20回目あたりまでほぼ全てフォローし、ネタの微妙な変化や、番組側からどのように扱われるかなどをチェックして来ました。
流行が集合的無意識に合致していると言うのはその通りとは思いますが、この記事における「構成」の分析はその観点に立っておらず、単なる一般的な主体の置き方の問題ですね。
ブルゾンちえみがウケたのは、まずは印象としてのキャラの真新しさではないでしょうか。"ちょうどいい"ビジュアルに個性的なメイク、女性1人に謎の男性2人という構成はインパクトが強く、これまでにないもので、想像力を掻き立てられます。
先日サプライズでの共演が話題となったオースティン・マホーンの"Dirty Work"をBGMとしていますが、この楽曲の極めて現代的な感性とネタとの相性の良さもインパクトがあります。ネタの設定や世界観自体、この楽曲のMVからヒントを得ているようにも思われます。
記事では女性から見た男性の価値や、いわゆる"カネとカオの交換"としての雌雄間競争に論点が置かれていて、なるほどそうかなとは思います。ただ、やはり1番大きいのは、女性としての生き方に関する価値観の提示があると思います。
現代日本で働く若い女性は、「効率的な仕事」や「充実した私生活」、などの様々なプレッシャーを感じています。そして、職場や男性から承認を受ける為に、自分はどうあるべきか、ファッションやメイク、趣味に到って悩みます。いかに「モテる」べきか。
白石麻衣写真集が空前の売れ行きを見せたように、ある種完成された美しさを強く求めている一方で、現実とのギャップの中で、等身大の自分と個性を受け入れ解放することも潜在的に望みつつも、強く抑圧しています。そして、そんな女性をみて、多くの本当は強くはない男性も「東京カレンダー」を演じるのに疲れ、内心休戦を求めています。
一般受けしやすいオシャレな方向と決別し、ありのままで勝負する、そんなブルゾンちえみのメッセージに強い共感が得られたのではないでしょうか。ちなみに、東京タラレバ娘の主人公とブルゾンちえみは似ている。主人公の倫子(脚本家、キャリアウーマン)は3人組の中で唯一「ミツバチ」ではなく「花」として振る舞い、2人の男性を引き寄せ、若いイケメン俳優と結ばれる。ちなみに原作の倫子は小柄でグラマー、ショートカットという外見である。ドラマでは違ったが。ここにも集合無意識が垣間見える。