IoTデータ売買市場 国内100社、企業向けに創設
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日本では裏運用のみでなかなか拡がらないデータ売買市場を何とか立ち上げようとする試み。
しかしながら課題は山ほどある。
たとえば、売られているデータの正確性や真正はどう保証できるだろうか、IoTデータは膨大になりがちであるがそのアーカイブコストをどのように負担するのだろうか。データがあっても活用はホネであるが購入したデータをどのように価値に変えられるだろうか。データの匿名化は十分だろうか。メーカーごとに取得管理しているデータの項目や単位がバラバラで使いづらいのではないか。継続性があるのか、途中からデータの供給が止まったらどうなるか、など。
こういう問題があるから、自分が取得したサービスデータを使うのが一番いい。
IoTデータ売買市場はどんな課題を解決してくれるだろう。問題意識や意欲はとてもわかるので、うまくいって欲しいところだが、「事業活動で何となくたまってきたデータを、ごみデータもいっしょくたにぶちこみます」ということしかできない参加企業が多そう。
IOTとか、ビックデータとか言われる前から、企業の中に入りデータを受領し分析するのがコンサルタントの仕事でしたが、ほとんどの場合は、企業内でもそのデータは活用されておらず、我々が分析するにも最初に膨大なクレンジング作業(データのごみをはじいたり、複数のデータソースを組み合わせたり)が必要になることを考えても、企業独自のフォーマットで大量に集められたデータとか悪夢でしかない。
何らかの接続性があるデータしか売れない、となる感じなんでしょうかオムロンはすでに昨年センサーデータの流通市場Senseekの立ち上げを発表している。
http://www.omron.co.jp/innovation/sensingdatatradingmarket.html
時を同じくしてベンチャー企業のエブリセンスがIoTセンサーデータ流通マーケットプレイスの構想を発表している。
https://every-sense.com
また、ウイングアーク1stはIoTに限定しないものの、3rd Party Data Galleryを立ち上げて他社データの販売流通及び販売代理を手がける。
http://www.wingarc.com/service/dg/
理解しなければならないのはその必然性で、IoTによって目指すのが、CPSやDigital Twinといった、バリューチェーン全体をデジタル化して、
現実の止まらないアナログ世界と時間を動かしてシミュレーション可能なデジタル世界を一つにシンクロして扱う経営モデル/ビジネスモデルの
実現にある。
これを予測精度高く実現しようとすると、把握できているデータのみならずIoTの考え方で把握できていない、見えていないデータを
自社だけでなく、バリューチェーンに登場する取引先、パートナー、顧客に渡るまで、幅広く収集しなければならない。そこで、
データの流通市場が必要になってくるのである。これまでも相対契約ではデータは取引されており、我々のプロジェクト事例でも
普通に存在している。例えば、設備機器製造会社が顧客の工場などに納めた機器のメンテナンス情報を遠隔監視したいが、顧客側で
複数企業の設備機器のデータ管理プラットフォームを実現してしまった場合に、顧客側企業と設備製造会社の間で設備機器の稼働データ
の売買が行われるといった形だ。
経産省もデータ流通に関するガイドライン整備に着手し始めており、外郭団体で先日まで行われていたと自分も参加していたある研究会では、
産業データのオープンな活用を、いかにクローズドな部分を残しつつ整理するかが論点の一つとなっていた。データを欲しがる企業がいる一方で
クローズドにして内部のみで活用を目指す企業もおり、同床異夢な現状をどのようなインセンティブをつけてデータ流通に導くかが今後の
法制度の整備と合わせて工夫のしどころとなろう。