(Bloomberg) -- 経営再建中の東芝のメモリー事業の売却先候補として、米半導体のブロードコム、米投資ファンドのKKRがそれぞれ主導するグループが有力となってきた。事情に詳しい複数の関係者への取材で明らかになった。2次入札は19日に締め切られ、合わせて4グループが応札した。

関係者によると、米ブロードコムは2兆2000億円(事業価値)を提示。独占禁止法の審査などで他の陣営に比べてハードルが低く済みそうだという。一方、KKRの他、官民ファンドの産業革新機構や日本政策投資銀行などが参加する「日米連合」は1兆8000億円を提示し、政府からの支援も取り付ける計画だ。

東芝は年度内の債務超過解消に向け4月に分社した東芝メモリの売却を急いでおり、これ以外にも、韓国のSKハイニックス、台湾の鴻海精密工業が応札した。これら2陣営は1次入札で220億ドル(約2兆4500億円)を提示を示していた。

東芝の合弁先である米ウエスタンデジタル(WD)は、日米連合に参加するため交渉してきたが、出資割合について合意に至っていない。WDは20%未満での出資提案に対し、支配権の取得を要求しているという。WDは同社の同意がなければ、他社に東芝メモリを売却できないと主張している。

東芝幹部は19日夜、売却手続きの障害になる恐れのあるWDの幹部が来週、来日し打開策を協議することを明らかにした。同幹部は2次入札には複数の企業やファンド連合などが応札したものの、買収のさまざまな条件や金額、スキームが複雑で、売却先の決定は6月末の定時株主総会に間に合わない可能性を示唆した。

関係者によると、米ファンドのベインキャピタルはSKハイニックスと組んで応札した。また、東芝からメモリーを購入している米アップルも、いずれかの陣営に参加することを検討している。ただ、日本政府には外国企業への情報流出などを懸念する声もある。

東芝、KKR、革新機構の広報担当者は入札などに関して、コメントを差し控えるとしている。ブロードコムの担当者に連絡を試みたが、返答は得られていない。

こうした中、東芝とWDとの対立は長期化しつつある。合弁契約には違反しないと主張する東芝に対し、WDが15日、国際商業会議所(ICC、本部パリ)の国際仲裁裁判所に仲裁を申し立てている。

東芝の19日の株価は一時5.6%高まで上昇。前日比3.3%高の232.5円で取引を終了した。

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