スポーツマーケティングの世界に生まれたイノベーションとは

2017/5/15
NewsPicksは、J-WAVE「STEP ONE」(毎週月~木 9:00~13:00)と連携した企画「PICK ONE」(毎週月~木 11:10~11:20)をスタートしました。
15日は、SPOLABo代表の荒木重雄さんが出演。「良い試合を見せるだけでは足りない! 野球・サッカー2大スポーツのマーケティングはどこまで進んでいるのか」(MarkeZine)を題材に、スポーツマーケティングのこれからについて解説しました。
SNSやアプリを本格的に活用
サッシャ 今日は、「良い試合を見せるだけでは足りない!野球・サッカー2大スポーツのマーケティングはどこまで進んでいるのか」というトピックにフォーカスです。
寺岡 解説してくださるのはNewsPicksの公式コメンテーター「プロピッカー」の荒木重雄さんです。
荒木さんは、外資系通信会社の日本法人代表を経て、2005年からは千葉ロッテマリーンズの経営改革に携わり、その後は野球日本代表・侍ジャパンの戦略などを歴任。
現在はSPOLABo代表、スポーツビジネスアカデミー(SBA)代表理事でいらっしゃいます。おはようございます。
荒木 おはようございます。
サッシャ まずはピックしていただいたニュースについて、内容を教えてください。
荒木 日本を代表するスポーツである野球とサッカーですけれど、そのチームやクラブがSNSやアプリを本格的に活用する時代に入り、さらにPCではなくスマホを軸にした情報発信に変わってきたというニュースです。
サッシャ なるほど。スポーツの球団やリーグには、マーケティングとして何が求められているんでしょうか。
荒木 歴史的に見ると、スポーツとメディアは切っても切れない関係でした。
どちらかというと、スポーツ競技団体は、試合という商品を生産することに集中していたんですね。その商品をマスメディアに託していました。そして、マスメディアがそれを情報として伝えるという関係でした。
そのため、球団自らがファンに対して積極的に情報発信をする枠組みができていませんでした。
しかし、テレビでの露出が減るなど、マスメディアがスポーツを扱う頻度が下がったことで、直接的にファンにメッセージを伝えることが、非常に重要になってきたんです。
サッシャ アメリカなどは、ずいぶん進んでいますよね。特にNBAが一番先でしたかね。
荒木 SNSという意味ではバスケットボールですね。ウェブ全体で言うと、四大スポーツ(アメリカンフットボール、ベースボール、バスケットボール、アイスホッケー)は10年、20年前から素晴らしい取り組みをしています。
セグメントに合わせたコンテンツ
サッシャ それに比べると、日本はどんな状況なんでしょうか。
荒木 SNSが出てきたことで、ようやく情報の出し方が変わってきました。
どういうことかと言うと、いままではライトファンをどうやって増やすかという取り組みをしていました。それは、スポーツが“マスメディアの世界”だったからです。
それが、マスメディアに頼らず球場やアリーナでしっかりお客さんを取りに行くという戦略になってきましたから、必ずしもライトファンに刺さるコンテンツだけではなくて、ユーザーの細かいセグメントに合わせて、情報を広く伝えていくように変わってきました。
サッシャ なるほど。昔はテレビをつければ野球の試合が流れていたと。
いまは野球を見たい人には有料配信をしたり、インスタグラムで選手の裏側を伝えたりするようになってきたということですね。
荒木 そうですね。マスメディアだと、どうしてもチャンネルや時間に制限があるので、ライトファン中心の万人に受けるコンテンツが大前提になります。
しかし、ネットではスクリーンも時間の制限もなくなるので、ニッチなファンに受けるコンテンツもターゲティングして配信することができるので、テレビというよりも通常のコンテンツ的な発想が重要になってきます。
サッシャ カープ女子なんかもそうですね。テリー(寺岡)は、スポーツってそんなに?
寺岡 そうなんですよ。実家でテレビがついているときや、オリンピックとか世界的な大会を見るくらいです。
サッシャ そうすると、無料のテレビで見ることが前提になっているよね。
寺岡 そうですね。いまは、サッシャさんに教えてもらったアプリを入れることもありますけれど。
イノベーションが生まれた
サッシャ 僕自身が関わっているところで言うと、テレビもやっているんですけど、ネットではスポナビライブやDAZNでも実況をしています。
アメリカでは、リーグが直接配信する方式の方がメインでしょうかね。
荒木 そうですね。基本的にアメリカは放送だけではなく、チケッティングやライセンスグッズなど、すべて内製化する動きが、ここ10年20年と進んでいます。
サッシャ リーグで管理すると。
荒木 おっしゃる通りです。日本はどちらかというと外部の業者とうまく連携するスタイルでした。
そのなかで、スポナビライブやDAZNが出てきたことは、単純にインターネットで見られるという話ではなく、構造的に大きな変革が起きたんですよね。
つまり、スポナビライブをやっているソフトバンクにしろ、DAZNのパフォーム・グループにしろ、放送局ではない、ということなんです。
放送局以外の人たちが、インターネット回線さえあれば誰でもスポーツを見られるようにした。これがイノベーションです。こうした事業者をOTTと言います。
サッシャ OTT、Over The Topですね。
スポナビライブだとバスケットボールのBリーグ、DAZNはJリーグと契約したことが有名ですけれど、そこで一番変わったのは全試合が見られることですよね。
これまではチャンネルに制限があったので、同時に試合をしていると一試合しか見られませんでした。
寺岡 私も、そんなに試合数があるなんて知らなかったですし、メジャーではないスポーツも見られるので、面白いなと思います。
サッシャ あと、たとえばファンであればホームの試合は見に行く、アウェーの試合であればウェブで見るなど、ずっと追いかけられますよね。
これがライトファンを増やすんじゃなくて、深いファンを増やしていくということですよね。
荒木 そうですね。
今後の可能性と課題
サッシャ 今後、この流れはどうなっていくんでしょうか?
荒木 2020年に向けて、色々なスポーツが見られる環境が美しいわけですよね。
そのなかで、野球やサッカーのようなメジャーなスポーツがプラットフォームをつくり、そのプラットフォームに様々なスポーツが載っていき、それらも見られるようになる流れがいいかなと思っています。
サッシャ 要は、スポナビライブなどで配信されるスポーツの競技数が増えて行くということですね。
あと、この分野で先行しているのはオリンピックだと思うんです。テレビで放送されないスポーツをウェブでリアルタイム配信することが、取り入れられています。
荒木 「gorin.jp」ですね。
サッシャ 個人的には、これが東京オリンピックで、どういうシステムを取るのかに興味を持っているんです。
荒木 おそらく、その流れはもっともっと加速すると思います。
一つ言えるとすれば、「テレビで見られたコンテンツをウェブで見られる」というのは当然あります。
それ以外に、「もともとテレビでも見られないコンテンツを映像も含めてウェブで見られるようになる」こともあると思います。
そのためには、権利をどう処理するのか、それを製作するためにはどんな人材が必要なのか、現在の競技団体にその人材はいるのかが、次の課題になると思います。
サッシャ スポーツ好きにはめちゃくちゃいい時代ですね。どうもありがとうございました。
荒木 ありがとうございました。
※本記事は、放送の内容を再構成しています。
今回のニュースをはじめとした荒木さんのコメントは、ぜひ以下からチェックしてみてください。
16日はのジャーナリストのフローラン・ダバディさんが出演予定です。こちらもお楽しみください。

【番組概要】放送局: J-WAVE 81.3FM
番組タイトル: PICK ONE
ナビゲーター: サッシャ、寺岡歩美(sugar me)
放送日時: 毎週月~木曜日11:00~11:20(ワイドプログラム『STEP ONE』内)
番組WEBサイトはこちらをご覧ください