【真相】日本も配備の最新鋭ステルス機「F-35」が抱える弱点
2017/5/20
性能に問題がありすぎる
米東部メリーランド州のパタクセントリバー海軍航空基地。晩冬の空は美しく晴れ上がり、目の前にはチェサピーク湾が広がる。見通しのいい滑走路では、最新鋭ステルス戦闘機F-35BライトニングIIが発進の準備をしている。
やがてシューッという高音がゴォーッという轟音(ごうおん)に変わると、F-35Bは滑走を始めた。ただしそれは数秒のこと。100メートルも行かないうちに、カラスのクチバシのような機首が上を向いて、離陸。あっという間に空の向こうに消えて行った。
しばらくして戻ってきたF-35Bは、上空でスピードを落とすと、ヘリコプターのようにゆらゆらとホバリングして、スタート地点にまっすぐ垂直に降りてきた。3本の脚が着陸の衝撃を吸収すると、急に機体は静かになった。
コックピットから出てきたのは、海兵隊のパイロット1人。これが空軍か海軍のF-35だったら、これほど限られたスペースで離着陸することはできない(そのかわり別の機能がある)。
だから国防総省のF-35調達責任者であるクリストファー・ボグダン空軍中将は、昨年末にフロリダを訪れたとき、3種類のプラモデルを持って行った。ドナルド・トランプ(当時は次期大統領)にF-35の説明をするためだ。
トランプの「飛行機愛」
手ごわい会合になることは覚悟していた。なにしろトランプはその9日前、ツイッターでF-35調達計画を「どうしようもない」と厳しく批判していたのだ。
だが、パームビーチにある豪邸マララーゴを訪れたボグダンは、少し驚いた。トランプが飛行機に関する知識を熱心にまくしたてたのだ。プライベートジェット(ボーイング757)のことも、とても誇らしげだったという。
「飛行機に関することならなんでもワクワクすると言っていたよ」と、ボグダンは振り返る。
長身でしわがれ声のボグダンが、この仕事に就いたのは2012年のこと。以来、製造元の米航空防衛機器大手ロッキード・マーチンと協力しながら、F-35の調達計画を進めてきた。
ボグダンはトランプに、F-35の最先端のセンサーシステムやステルス性を説明した。トランプは神妙に聞いていたが、翌日にはまた「とんでもない費用と見積もりオーバー」とツイートした。
ところが1月の大統領就任式の数日前、トランプはボグダンのオフィスに2度電話をよこした。F-35の性能が既存機よりも劣ると聞いたがどうなのか、というのだ。
そういううわさは「うそ」「誤情報」あるいは「古い情報」で、信頼する価値はないと、ボグダンは急いでトランプを安心させた。
最大の問題は価格ではない
大統領に就任してから10日目、突然トランプの論調が変わった。1月30日、ロッキードからの最新納入分90機のF-35の値段を計6億ドル引き下げさせたとし、F-35は「最高の飛行機だ」と記者団に語ったのだ。
以来、この値引きは「取引の名人」を自称するトランプの功績として、やたらと引き合いに出されるようになった。2月28日の上下両院合同本会議での演説でも、「ファンタスティックなF-35戦闘機を値引きさせ、何億ドルも血税を節約した」と自画自賛した。
実際には、かねてボグダンとロッキードの間で交渉が進んでいて、トランプの介入があろうがなかろうが、「値引き」は実現していた。それでもF-35は米国史上最も高額な軍需品調達になろうとしている。
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この連載について
北朝鮮をはじめ、日本を取り巻く「軍事情勢」が緊迫の一途をたどっている。だが、そもそも、北朝鮮の脅威が眼前に迫ってきたのはなぜなのか。そこには、軍事をめぐるテクノロジーの発展と、さらには我々が普段目にすることのない、新たな技術をめぐる戦いが横たわっている。今、技術が「戦争」の形を変えていく中、我々は何を知り、どう行動するべきなのか。新たな軍事の最前線をレポートする。
Chesapeake Energy Corp is a us-based exploration and production company.
時価総額
1.63 兆円
業績
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