【完全版Q&A】北朝鮮の新型ミサイル。日本ができることは何ですか?

2017/5/20
「彼ほどミサイル防衛に詳しい人はいない」

防衛省関係者がそう舌を巻くほど、ミサイル防衛に精通し、関連著書やテレビ番組も手がけるフジテレビの能勢伸之解説委員に、北朝鮮の新型ミサイルと、日本の迎撃態勢について解説してもらった。
2017年5月14日午前5時28分ごろ、北朝鮮の北西部、平安北道亀城から、1発の弾道ミサイルが発射されました。
北朝鮮が発射した新型弾道ミサイル「火星12」(提供:KRT/AP/アフロ)
ミサイルは、東北東の方向に約800キロメートル飛翔し、日本海に着弾しました。これを受けて、稲田防衛相はこのミサイルは、飛ぶ距離をわざと短くするために高く打ち上げる「ロフテッド軌道」で飛翔し、「2000キロメートルを超える高度は初めて」と、新型である可能性を示唆しました。
さらに安倍首相は、このような弾道ミサイルの発射は「断じて容認できない」と非難しました。5月16日、北朝鮮の朝鮮中央通信は、金正恩委員長が見守る中で、「火星12」型は発射され、「最大頂点高度2111.5キロメートルまで上昇飛行して距離787キロメートルの公海上の設定された目標水域を正確に打撃」したと発表しました。
今日は、なぜ新型ミサイルが「容認できない」のか、その説明をします。
弾道ミサイルは、大雑把に説明すれば、ロケット(エンジンやモーター)で、高く打ち上げて、標的の上に落とす兵器です。第2次大戦中にドイツが使用した元祖・弾道ミサイルV-2は、着弾速度がマッハ5に達していたそうです。
一方、有名な地上攻撃用ミサイル「トマホーク」は、巡航ミサイルに分類されます。
巡航ミサイルの元祖、V-1も、第2次大戦中のドイツで開発された兵器。こちらは、ジェットエンジンで標的を目指しますが、弾道ミサイルのような速度は出ません。