世界を席巻していた日本の半導体が衰退の危機に!その理由は?
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1991年,私が大学生だったころ,NHKスペシャル「電子立国日本の自叙伝」という番組を夢中で見ていた.DVDになっているので歴史的資料としてお勧め.
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そのなかで,ある半導体メーカーの幹部技術者が,
「半導体産業がここまで巨大になってしまうと,新興国が追い付くのは無理.日本にとって,戦後の復興期と半導体産業の発展期が一致していて幸運だった.」
と語っていたのが印象に残っている.
見事に外れたわけだ.当時,すぐ後ろを新興国が迫っていることに,誰も気付いていなかった.
学ぶところが多いと思う.バブル崩壊直後の93年。
パイオニアが30人の指名解雇を行い大きな社会問題になったことがありました。
今では信じがたいことかもしれませんが、当時の日本は社員を解雇することなど、まずあり得ないことで、不況になっても、まず社員の雇用を守り続けることが、優れた経営者の条件とされてきたのです。
これはこれで素晴らしい美徳だとは思いますが、一方で社会的非難を避けるために、黒字部門の利益で赤字部門を支える構図となり、特に総合電機メーカーにおいては、必要とわかっていても半導体のような金食い虫への大規模投資を躊躇する要因になりました。
一方97年の通貨危機とそれに続くIMF管理で経営危機に陥ったサムスンは、全事業の70%余りを整理し、会社の命運を半導体事業に託す決断をしました。
結果的に赤字部門の切り捨てを躊躇し、貴重な経営資源を赤字部門を支えるために使った日本企業と、全ての経営資源を半導体事業一本に投資したサムスンの差が出たと言えます。
もちろんこんな簡単な事だけで、日本の半導体産業の凋落を説明できるわけではありません。
しかし今以上に厳しい解雇規制や、当時はスピンオフやスプリットオフはおろか、会社分割や株式交換もなく、経営として取りうる選択肢が限られていた時代でした。
いわば順風満帆に成長してきた日本は、元々逆風の時の経営の柔軟性に、社会システム的に掛けており、それが日本企業の凋落の大きな背景にあるように思います。記事の内容もその通りだと思うし、ピッカーの方々の言うこともその通りだと思う。
でも、本質は能力の向上スピードとそれに対応するように価格の下落スピードが早すぎるのが、脱落していった本質だと思う。移ろいが大きく早いと、規模と博打(お金の面での)がものを言うので、日本メーカーには不向き。
そして、そうなった本質は、製造装置メーカーと、半導体製造メーカーが全く別々だったことで、お金をかければ半導体メーカーになりやすかったことではないだろうかと、思っている。現に、半導体製造装置メーカーについては、いまだに、大半がアメリカか日本のメーカーだ。