地方創生における自治体と地域の課題は、どこにあるのか

2017/5/9
NewsPicksは、J-WAVE「STEP ONE」(毎週月~木 9:00~13:00)と連携した企画「PICK ONE」(毎週月~木 11:10~11:20)をスタートしました。
9日は、アソビュー代表の山野智久さんが出演。「工場誘致と観光客数アップに固執する残念な地方創生」(ニュースイッチ)を題材に、地方創生の取り組みの現状と課題について解説しました。
数字で物事を考える必要性
サッシャ 今日は、「工場誘致と観光客数アップに固執する残念な地方創生」というトピックにフォーカスです。
寺岡 解説してくださるのはNewsPicksの公式コメンテーター「プロピッカー」の山野智久さんです。
山野さんは全国のアクティビティを紹介する日本最大の遊びのマーケットプレイス「asoview!(アソビュー)」を運営するアソビューの代表でいらっしゃいます。
また、地方創生を手掛ける一般社団法人「熱意ある地方創生ベンチャー連合」の共同代表理事でもあります。今回は、地方創生を成功に導くポイントを伺います。おはようございます。
山野 おはようございます。
サッシャ 地方創生の“誤り”を指摘する記事をピックされたわけですが、その理由は。
山野 自治体や地域の方と色々お仕事をしていると、問題の設定は正しいのですけれど、問題を解決するための課題設定や施策に整合性が取れていないケースや、数字化されていないところに課題があるなと感じています。そこにすごく共感を覚えたので、ピックしました。
サッシャ そうしたなかで、成功しているところもあるんですか?
山野 そうですね。この記事で言うと、宮崎県の日南市です。記事自体も同市が設置した「マーケティング専門官」(民間から起用したマーケティング担当職員)が書いています。
民間の方々とうまくコラボレーションして、シャッター商店街を再生するなど、一定の成果が出ているなと思います。
サッシャ 山野さんは地方創生のお手伝いをされているわけですが、地方創生においていま重要なことは何ですか?
山野 やはり、どこまで行っても地域のリーダーシップを持つのは自治体であり地域なんですよね。
そのため、自治体・地域が課題解決に向けて定量的に、数字で物事を考えて課題解決する施策を講じて、それをモニタリングしてチェックする役割を担うことが一番重要なポイントだと思います。
サッシャ 数値化ができていないとのことですが、感覚でやってしまっているということですか?
山野 そうですね。アイデアやひらめきが先行しています。
民間企業からすると、経済合理性を重視するため数字で考えることは当たり前の話です。
けれど、これまでの自治体は公平性・公明性を重視してきたので、そうしたことをあまりやってこなかったんです。
また、人口がどんどん右肩上がりで増加していた時代には、現在抱える問題を課題として感じてこなかったため、取り組むことが得意ではないと言えます。
観光客数だけを見てはいけない
寺岡 ピックされた記事は「工場誘致と観光客数アップ」とありますが、人が来るとお金が落ちそうな気もするのですが。
山野 それは、ある意味で間違っていないのですが「観光客数が増えるだけでいい」とは言えないんです。
観光客数と同時に客単価、さらに購入されたものがどこで生産されたものかも考えなければいけません。
たとえば、地域でつくられたものであれば地域に落ちるお金の総額は増えますよね。ところが、東京でつくられているものであれば、東京にお金が落ちているわけです。
サッシャ 工場誘致に関しては、工場が来れば労働力が増えて定住する人も増えるわけですよね。
寺岡 外から人が来そうなイメージもありますけどね。
山野 それも、まさにその通りなんです。ただ、実はいまの日本は人手不足なんです。
地域は「仕事がない」と言われがちなんですが、有効求人倍率は全国最低の沖縄でも1倍を超えています。要するに、企業が人を採用できない状態になっています。
仕事があっても全員がマッチングするわけではないので、有効求人倍率は、だいたい0.7倍を超えてくると、採用しづらくなると言われています。それが1倍を超えている。
そうすると、地域に工場ができても「人が採用できない」となり、生産ができないですよね。その問題提起がピックした記事なんです。
地域に興味を持つことがスタート
サッシャ なるほど。ただ“ガワ”だけ呼んでもしょうがない、ということなんですね。
ところで、今後の日本において地方創生って大事なんでしょうか。いまは一極集中化していますけれども。
山野 やっぱり地域には暮らしがあって、歴史があって、文化があります。そこに住みたい人の生活をきちんと守って、持続可能な経済活動を行うという観点において、非常に重要だと思っています。
サッシャ 地方に住みたいけれど、仕事の関係で仕方なく東京件に住んでいる人も結構いるはずですもんね。
山野 そうですね。場所にとらわれない働き方を実現しようと、クラウドソーシングなどの会社もありますので、そういうところが旗を振って推進する必要があると思います。
サッシャ 山野さんなどに相談するような自治体は、若い世代が頑張って改善しようとする意欲が高いと思うんですけれど、相談しない自治体は上の世代が力を持っているところもあるんですか?
山野 そうですね。やっぱり人間は変化を恐れるので、新しいチャレンジをおっくうに感じてしまいます。
上の世代になるほどその傾向が強い印象があって、変化したくても“異物っぽい人”に相談したくないというのがあるんですよ。
サッシャ 自分の範疇にいる人に相談したいということですね。
山野 ご覧のように、私はカラフルな服装をしていますので、スーツじゃないと大丈夫かなと思われてしまうところもあるわけです(笑)。
サッシャ その中で、成功に導くポイントとは。
山野 みんなが地域に興味を持つことが一番のポイントかなと思います。
サッシャ 僕たちも、ということですか。
山野 そうですね。地元はどこですか?
サッシャ ドイツです。僕は参考にならないですね(笑)。
寺岡 私は北海道です。
山野 そうなんですね。外からでもいいので、北海道に興味を持ってみる。まずは自分の地域に興味を持つことが前提だと思うので、それが日本全体でできればいいんじゃないかと思います。
そうしないと、次のアクションにつながらないので。
サッシャ なるほど。みんな、本来は故郷を愛していると思うからね。
ありがとうございました。またぜひ山野さん活動を詳しく伺いたいと思いますので、次の機会によろしくお願いします。
山野 よろしくお願いします。ありがとうございました。
※本記事は、放送の内容を再構成しています。
今回のニュースをはじめとした山野さんのコメントは、ぜひ以下からチェックしてみてください。
10日はコモンズ投信代表の渋澤健さんが出演予定です。こちらもお楽しみください。

【番組概要】放送局: J-WAVE 81.3FM
番組タイトル: PICK ONE
ナビゲーター: サッシャ、寺岡歩美(sugar me)
放送日時: 毎週月~木曜日11:00~11:20(ワイドプログラム『STEP ONE』内)
番組WEBサイトはこちらをご覧ください