[ソウル 27日 ロイター] - 韓国のサムスン電子<005930.KS>が27日発表した第1・四半期決算は、営業利益が9兆9000億ウォン(87億5000万ドル)となり、4月7日に発表した会社予想と一致した。メモリーチップへの強い需要が増益に寄与した。営業利益は2013年第3・四半期以来の高水準。

売上高は2%増の50兆5000億ウォン。こちらも会社予想とほぼ一致した。

同社は第2・四半期についても強気の見通しを示すとともに、保有する自社株(金庫株)を消却する方針を明らかにした。

発表を受け、ソウル株式市場のサムスン電子の株価は上場来高値を更新した。

サムスンはまた、持ち株会社構造は採用しないことを決定したとし、物言う株主である米ヘッジファンド、エリオット・マネジメントの要求を拒否した。エリオットはサムスンに対し、持ち株会社と事業会社の2社に会社を分割するよう求めていた。

ただ、エリオットの提案の一部は受け入れ、株主価値を向上させるため、2018年までに350億ドル相当の既存の自社株を消却する計画を発表。併せて2兆3000億ウォン相当の自社株買いプログラムも明らかにした。

サムスン電子株は直近が1.92%高。ソウル株式市場の総合指数は0.16%軟化している。

HDCアセット・マネジメントのファンドマネジャー、Park Jung-hoon氏は「既存のすべての自社株を消却するとの発表は予想外だった。上向きな業績見通しとともに、サムスン電子の株価を押し上げる材料になっている」と指摘した。

第1・四半期の決算内容は、同社が今期および17年通年に過去最高益を計上するとの観測を強める内容。

4月に発売した新型スマートフォン「ギャラクシーS8」の事前予約は多くのアナリストの予想を上回り、「ギャラクシーノート7」のリコール(無償回収・修理)問題による穴を埋め合わせるとの期待が高まっている。

サムスン電子は声明で「第2・四半期には、メモリーチップの引き続き好調な業績と、ギャラクシーS8およびS8+の世界展開を受けたモバイル部門の業績回復とで成長を達成する」との見通しを示した。

ギャラクシーS8に関しては、スクリーンが赤みがかる現象やWi-fiの接続にむらがある問題が最近指摘されているが、アナリストらは収益に大きな影響はないとみている。

部門別では半導体部門が引き続き稼ぎ頭で、過去最高となる6兆3000億ウォンの営業利益をたたき出した。

同部門の業績は、供給の伸びが抑えられる半面、スマホなどへの需要で利益率が押し上げられる中、DRAMおよびNAND型メモリーチップ価格の上昇に支援された。

一方、モバイル部門の営業利益は2兆0700億ウォンで、前年同期の3兆8900億ウォンから減少した。

*内容を追加します。