“大大阪時代”の復活なるか、「クールジャパンパーク」の可能性

2017/4/19
NewsPicksは、J-WAVE「STEP ONE」(毎週月~木 9:00~13:00)と連携した企画「PICK ONE」(毎週月~木 11:10~11:20)を、4月3日からスタートしました。
同番組のコーナーPICK ONEでは、月曜日から木曜日まで、それぞれ「テクノロジー・サイエンス」「ビジネス」「政治・経済」「キャリア」と、日替わりで4つのテーマを扱い、各分野のプロピッカーらが気になるニュースやトピックスを未来へつながる視点で読み解きます。
ナビゲーターはサッシャさん、アシスタントはsugar meの寺岡歩美さんが務めます。
19日は、大和総研副理事長の川村雄介さんが出演。「大阪に『クールジャパン劇場』新設へ」(毎日放送)を題材に、大阪の新たな観光戦略について解説しました。

日本の成長戦略につながる事業

サッシャ 未来を歩く羅針盤「PICK ONE」。200万ユーザーが使っている経済ニュースアプリ「NewsPicks」とコラボレーションしまして、未来を読み解くヒントになるような話題をチョイス。
今日は、「大阪に『クールジャパン劇場』新設へ」というトピックにフォーカスです。
寺岡 解説してくださるのはNewsPicksの公式コメンテーター「プロピッカー」の川村雄介さんです。
川村さんは大和証券に入社後、一貫して証券業界に身を置きながら、長崎大学、一橋大学でも教鞭を折るなどマルチに活躍されています。
現在は大和総研副理事長でありながら、財務省国際局アジア債券市場研究会座長など、政府の委員も多数歴任されている、金融のスペシャリストです。よろしくお願いします。
川村 よろしくお願いします。
サッシャ 面白いですね。金融のスペシャリストである川村さんが、なぜクールジャパンパークという、やわらかそうな話題をピックアップしたんですか?
川村 もともと、僕はこの分野が好きなんですよ。たとえば、日本の伝統文化やポップカルチャー何でもこいですし、特にカラオケは自分でCDも出しています。
寺岡 ええっ、すごい。
川村 ちょっと、引かれるんですけれども。
サッシャ 歌手でもあるんですか。
川村 お金は頂いてないですけれどね。
それと、もうひとつ、金融って目に見えないのでわかりにくいじゃないですか。お金を貸したとか出資したとか言われても、何のことか分からない。
金融は大事な役割を果たしていますが、それが「見える化」したら一番いいなと思っているんです。
今回のクールジャパンパークは、国や民間が出資という形でお金を出し、非常に難しい仕組みを使っている事業です。
しかし、出来上がるものは、外国のお客様を中心に、みんなでクールジャパンのカルチャー、イベントを楽しむコンテンツ展開をするプロジェクトです。
言ってみれば、見えないお金を見える化することになり、それが日本の成長戦略にとっても非常に役に立つんです。

外国人に向けたコンテンツ展開

寺岡 具体的には、遊園地みたいなアトラクションになるんですか?
川村 遊園地とかテーマパークとかいろんな言い方はあるんですけれど、僕はそれにこだわらず、とにかく大勢の方々が色々楽しめて、一日遊んで「よかったな」という場所だと思います。
サッシャ それは外国人に向けてですか?
川村 はい。基本的には、日本を訪れる海外の方向けです。いま「インバウンド」とよく言われますけれども、海外から2400万人の方が訪れるようになってきましたが、もっと増やさなければならない。
そのとき、海外の方が日本で「こういう文化があるんだな」「こんな食べ物があるな」と思ってもらうとともに、母国でも楽しみたいと感じてもらい、友達にも「面白いぞ」と言ってもらえる、そんなクールジャパンを凝縮したような場所をつくろうという発想です。
大阪城公園の近くにできるので、場所も非常にいいですね。
サッシャ 関西も、外国人が多いですもんね。
川村 そうですね。大阪城を訪れる外国人の方も多いのですが、だいたいは写真を撮って終わってしまうことも多い。別の言い方をすると、お金が落ちないんです。
それに、夜は真っ暗になってしまうので、少し怖い。これを、昼も夜もにぎやかにするアミューズメントをつくろうということです。
サッシャ たとえば、どんなコンテンツが予定されていますか?
川村 一番中心となるのは「COOL JAPAN VARIETY BANG!」という、歌舞伎、殺陣、ミュージカル、忍者、下駄を使ったタップダンス、イリュージョンなどのパフォーマンスをスペクタクルに展開するものです。
もうひとつは、「THE 舶来寄席」。世界中のコメディやバラエティアクトを上演します。
サッシャ 海外のものが来ると。
川村 フランス、ドイツ、アメリカなどいろいろなものが来るわけです。
さらに、大阪や関西をテーマにした小説や映画、ドラマがたくさんありますが、これを「2.5次元ミュージカル」の演劇で展開します。また、J-POPの野外コンサートなども開催します。
そして、面白いものとしては養殖マグロや養殖ナマズなど日本特有の技術を学べるコーナーも設けます。
さらに、アジアの方が日本の優れた人間ドッグで健康診断を受ける医療ツーリズムが流行していますが、その拠点にすることも検討されています。
サッシャ そうすると、海外から訪れる方のガイドブックに必ず載っていて、ウェブサイトやSNSでも「ここに行っておけば間違いない」と言われるような拠点になればいい、と。
川村 まさにそうですね。運営は民間の12社が出資しているんですが、在阪キー局(テレビ局)5社がすべて出資しています。
また、旅行会社のHISも参加しているので、海外の旅行者のツアーに組み込まれることになります。
そして、いまアジアにコンテンツ展開している吉本興業も参加しています。

大大阪の復活なるか

サッシャ これはいつごろからスタートするんですか。
川村 年内に開業の予定です。ただ、場所が大阪市の土地だったり、国が絡んだりしているので、多少前後する可能性はあります。
サッシャ 大阪がうまく行ったら、東京もアイデアにあるんですか?
川村 当然あり得ると思いますけれども、東京には場所の問題や、すでに色んなテーマパークがあります。
その前に、関空から大阪に来てクールジャパンパークで遊び、さらに奈良や京都を旅行するという、いわば「ゴールデンルート」を構築するのが大きな目玉ですね。その先に大阪万博や統合型リゾートなどが数年後にあり得ると思います。
「大大阪」復活で、日本経済の進歩につなげるという目的もあります。
サッシャ なるほど。商人の町がまた商いで盛り上がると。「エンターテインメントを見るために関西に行かなきゃ」となるのが目標なんですね。
寺岡 国内旅行者も楽しいですね。
川村 おっしゃるとおりですね。中心は外国人観光客とお話ししましたけれど、日本の方も楽しんでほしいですね。東京からも関西に行くようになると思います。
寺岡 行ってみたいですね。
サッシャ 東京も、負けてられへんなあ(笑)。川村さん、ありがとうございました。
川村 ありがとうございました。
※本記事は、放送の内容を再構成しています。
今回のニュースをはじめとした川村さんのコメントは、ぜひ以下からチェックしてみてください。
20日は人材研究所代表の曽和利光さんが出演予定です。こちらも合わせてお楽しみください。

【番組概要】放送局: J-WAVE 81.3FM
番組タイトル: PICK ONE
ナビゲーター: サッシャ、寺岡歩美(sugar me)
放送日時: 毎週月~木曜日11:00~11:20(ワイドプログラム『STEP ONE』内)
番組WEBサイトはこちらをご覧ください
(構成:菅原聖司)