「シムズ理論」が成功しても庶民だけが損をする理由
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経済学は社会科学。経済学者の方や有識者と呼ばれ方に怒られるかもしれませんが、今起きていることを最もらしく説明するために、様々な前提の上に理屈を語るものです。そうした前提がありますので、誰が何を言おうと正解はありません。逆に言えば誰でも何とでも言えるのです。この記事もツッコミどころはたくさんあります。
この記事で押さえておくべき一つ目は、4ページ目の「日本の場合、政府の「増税しない」との宣言を国民が信用したとしても、それ以外の要因が働いて消費を増やさない公算が大きいからだ。その一因が社会保障。若年層を中心に、老後の生活設計に見合った額の年金を受け取ることができないという不安が根強い。それ故、所得が増加しても消費に回さず貯蓄される可能性が高い」という部分。
ここは日本でなくてもそうです。増税を決めるのは政府と国会です。そこがやると決めれば決まりますので、そんな空手形を信じるほど我々も無知ではありません。かつ、今、何も将来の良いことが見えて来ません。本質的な経済成長のためには、我々一人一人が消費をすること。これは随分と前から言われ続けていますが、明るい未来が見えないことにはなかなか難しいと皆さん思われるのではないでしょうか。
財政支出は一時的に需要を増やす効果はあるかと思います。ただ、それが一時的かつ直接その仕事を請け負った人だけに留まるものではなく波及効果があるのかどうか、また日本の将来に役に立つ投資が本当になされるのか、こうしたことが担保されないのであれば、ただの無駄遣いになってしまいます。
もう一点、政府に限ったことではありませんが、インフレになれば借金をしている人が得をします。従って我々も借金をしてインフレに強い不動産や株に投資をすれば、仮にインフレが起きた時には得をしますの。ただ、このままデフレが進めば真逆ですが。
注目のコメント
ちょっと労働生産性の考え方に違和感があります。労働生産性なんて、所詮GDPを労働投入量で割った結果にすぎません。このため、どんなに頑張って労働投入増やしても、デフレでGDP増えなければ労働生産性上がらないんですね。まさにこれまでの日本がこの状況でしたから、日本の労働者が鈍くさいのではなくて、政策当局がデフレを放置し続けてきたことが労働生産性が低い主因でしょう。
この手の記事は読む前から、「多分、理由としてはあれかな」と分かるようになってきました。(笑)
>しかし、無制限に債務残高を積み上げることはできない。いずれは財政赤字を縮小するために増税することは避けられないだろう。
財政赤字を縮小するために増税、というところが明らかに財務省の考え方そのもの。将来不安を取り除くために、じゃあ、消費税を減税ないし制度そのものを止めればどうなの?元々、消費税がなくても日本の財政はやっていけるレベルなので。
>OECD(経済協力開発機構)によると、「政府債務残高の対GDP(国内総生産)比」は230%を超えて世界最悪レベル。財政破綻したギリシャより悪いというのだから、いかに悲惨かお分かりでしょう。
だから、資産・負債を両建てでグロスではなく、ネットの金額で負債を見ないと意味がないって。また、確かに社会保障の財源の問題はありますが、それならばその解決策の1つである「歳入庁」の創設に財務省が反対していることを忘れてはなりませんよね。そもそも「シムズ理論」ことFTPLを導入することでインフレとなることそのものが国民生活に少なからず負担を強いるものになりますから、そんなにうまい話というほどのことはありません。
ただ、デフレから脱却しきれず先進諸国の中でも最低の成長率を継続している日本の経済情勢を改善させるには、金融緩和を継続しつつ財政出動により名目GDPを増加させる、つまり国内の経済のパイを膨らませつつ、年率2%程度のインフレとすることが必要不可欠であり、このように経済成長を優先させることで財政健全化にも繋がります。
とはいえ、これによって政府だけが恩恵を受けるというわけではなく、とくに若年層を中心に負債超過に陥っている家計は少なくないですから、こういった家計にとっても少なからず所得が増加することにより負担が減ることにはなるでしょう。
資産規模が大きく、キャッシュフローが少ない高齢者層にとってはむしろデフレ気味に推移してくれたほうが恩恵が大きく、この手の政策はあまりありがたくない不人気なものでしょうが、世代間でいえば相対的に困窮しているのは若年層のほうですから、現状に甘んじるよりも財政出動と金融緩和のポリシーミックスを経済政策の主軸に据えたほうが良いということになるかと思います。