【サピエンス全史著者】政治・哲学を理解せずにAIは語れない

2017/3/27
歴史をテーマとした書籍としては異例の37万部を突破した、ヘブライ大学教授ユヴァル・ノア・ハラリ氏の新著『サピエンス全史』。
「なぜホモ・サピエンスは今日の地位を得られたのか」という問題意識のもと、人類誕生からシンギュラリティ(人工知能が全人類の処理能力を超える状態)が到来する近未来までの流れが、歴史学のみならず生物学、経済学、物理学、情報工学など、ありとあらゆる分野の知見を引きながら語られる。
ビル・ゲイツ、マーク・ザッカーバーグなど海外著名経営者が激賞したことで、世界48カ国で火がついた本書。日本語版の発刊から半年以上経った現在でも書店のベストセラーランキングに入り続けるなど、ブームはしばらく止まりそうにない。
先日、NewsPicksではハラリ氏の連続インタビューを掲載。数百件のコメントが寄せられるなど、大きな反響を呼んだ。
インタビュー冒頭でハラリ氏は、「人間は豊かになった、しかし幸せとは限らない」という本書のテーマへの踏み込んだ見解を示した。人間の幸福は「期待」によって左右されるため、いくら生活水準が上がっても、人間は満足することなく「もっと欲しい」と感じる。そこに人間が幸福になれない理由があると指摘する。
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また、今後の人類が直面する状況についても言及した。近い将来、テクノロジーの進展により、機械に置き換えられる「役立たず階級」が大量発生し、社会問題化すると予測。
その中で、現代人に求められるのは、常に新しいことを学び、環境の変化に適応すること。そして狩猟民族のように、自分の身体や五感に敏感になり、環境に対する柔軟性を高めることだと述べた。
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ここまで解説しただけでも、ハラリ氏が歴史学にとらわれない広範な知見に基づき、議論を展開していることがわかる。戦史を研究する歴史学者としてキャリアをスタートさせた同氏がなぜ、歴史学以外の知見を獲得し、「ビッグピクチャー」を描くようになったのか。今回、「横断的な知」をテーマに話を聞いた。