今春大卒内定率90.6%で最高 2月時点、文科・厚労調査
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もう毎年の風物詩ですが90.6%という数字そのものには、ほぼ意味がありません。例えば、昨年の大卒の就職率は74.7%。なぜ15%も差が生じるのか。
こちらの文科省と厚労省の調査は62校の抽出ですが、国立21校、公立3校、私立38校と、国公私立の学生数比率と異なる抽出で、対象大学は非公表。また各大学での調査方法は「各大学等において、所定の調査対象学生を抽出した後、電話・面接等の方法により、性別、就職希望の有無、就職内定状況等につき調査を実施する。」なので、対象学生の抽出も大学に依存しています。
「平成28年度大学等卒業予定者の就職内定状況調査(2月1日現在)」
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/29/03/1383467.htm
これに対して本来の就職率は学校基本調査によるもの。こちらは毎年夏に公表されますが、全大学のデータから統計として出されています。
「大卒の就職率74.7%…23年ぶり高水準」
http://mainichi.jp/articles/20160805/k00/00m/040/064000c
ですので、この記事にある内定率調査の意味は、経年での比較において傾向を把握するための参考として見るべきだと考えます。ただ、この数字があまりに高く出るので、社会的に「9割は就職している」という誤解を招いているように思います。
なお、本調査によると国公立男子の就職希望率は47.3%とのこと。大学院進学者は3割くらいのはずなので、残りはどこに??大卒内定率のデータは、10月1日時点、12月1日時点、2月1日時点、4月1日時点と年四回調査されますが、内定が遅くなるほど学生が妥協することになりますので、早い調査のほうが企業の採用マインドを如実に表します。なお、今回の10月1日時点での内定率は71.2%となり、98年の同73.6%以来の高水準ですので、いずれにしてもそこそこの売り手市場です。