崩れるケインズの主張

20世紀ではほとんどの期間、労働者の取り分は変わらないかのように思われていた。産業構成が変わろうと、労働者が受け取る報酬がその国の生産高に占める割合はほぼ3分の2だった。経済学者のケインズは1939年に、この労働分配率の不変性についてこう書いている。「あらゆる経済統計の中で、最も驚くべき、だが確立した事象の一つだ」と。
だがこの数十年、労働分配率は減りつつある。それには経営者が受け取るボーナスやストックオプションから、駐車場の係員が受け取る最低賃金やチップまでが含まれる。2000年代には大きく減り、この2~3年こそ漸増に転じているものの、不況の前を最後に59%を上回ったことはない。