内山恵梨香さんがピッカー仲間からもらった「挑戦する勇気」

2017/3/11
NewsPicksで活躍するピッカーさんをご紹介する本連載、17人目は内山恵梨香さんです。
先日、内山さんが書いたブログ「一般家庭の普通の高校生が世の中の大人に感動して起業するまで」がピックされると、大きな反響を呼びました。
内山さんには今回、NewsPicksで経済ニュースを読むのが日課だった高校時代から、やりたいことを見つけ、カタチにしようと奮闘する今に至るまでを振り返っていただきました。NewsPicksをつうじたピッカーさんとの交流で、内山さんが得たものとは?
進路に悩み、ニュースを熟読
──NewsPicksを始めたばかりの頃は「高校のスクールバスのなかで読んでいた」とブログに書かれていました。まだ高校生だった内山さんが、NewsPicksを知ったきっかけから教えてください。
高2の秋に、経済ニュースが読めるアプリを探して見つけました。世の中のことをもっと知らなくてはと、切実に求めていたのです。
当時の私は、漠然とですが、経営や経済学部に進学して、ビジネスについて学びたいと考えていました。でも、薬学部出身の父から「資格があるほうが将来は安心だから、薬剤師になりなさい」と言われて。
そのアドバイスを跳ね返せるほど、自分の意見がまとまっていなかったので、高2では理系クラスを選びました。
──勉強は得意でしたか?
いや、全然です(笑)。通っていたのは中高一貫校でしたが、中学入学直後に受けた模試の結果が偏差値29だったり、学校の試験でも学年ビリだったり。それでも、必死に勉強を続けるうちに、なんとか成績トップの選抜クラスに入れました。
そのクラスの名称が「医学部・理系選抜クラス」でした。そこに入った人は、難関国立か医学部、薬学部を目指さねばならない、暗黙の了解のようなものがありました。
──お父様の期待に加えて、学校でもプレッシャーが。
誰でも受験のときはそうかもしれませんが、文字どおり脇目も振らず、朝から晩まで勉強していました。
「ここで勉強したことがいつかは報われる、やりたいことにつながっていく」と、周りの子たちは苦なく信じてやっているように見えました。そう信じないと、耐えられないほど追い込まれていた、とも言えるかもしれません。
でも、私の中では全然しっくりこなかった。「もっとワクワクすることがあるはずだから、それを探したい」という気持ちが、いよいよ抑えきれなくなったんです。
でも、高校3年にあがるタイミングで、理系クラスを抜けて文系に移るためには、その理由を両親や先生に明確な形で説明できねばなりません。
私がやりたいことは何なのか。この世の中で、私は何を成し遂げたいのか。
まずは視野を広げよう、社会のしくみやキャリアについて、知ることから始めよう。そう思って、ビジネスや経済のニュースを読み漁ろうと決めたのです。
内山 恵梨香(うちやま えりか)
株式会社FirstMake代表取締役。高校時代に参加した起業イベント「StartUpWeekendTsukuba」で準グランプリを取り、高校3年の3月に創業。現在は、東京理科大学の経営学部に通いながら、メイク初心者向けのメイク動画アプリ「FirstMake」を開発中。
NPでの交流が契機に
──あまたあるニュースアプリのなかから、NewsPicksを選んだのはなぜだったのでしょう?
誘惑に負けて芸能ニュースを読むリスクを除外したかったんです(笑)。そのため、ビジネスや経済に特化したアプリを探している中で見つけました。
NewsPicksは、何よりも、ピッカーさんたちのコメントが貴重でした。
高校生には理解が難しい記事も多くて、大人たちがコメント欄で交わしている意見のほうが読みやすかったのです。いろんな意見を照らしあわせながら読むと「このニュースはこんな見方ができるのか」と理解が深まりました。
あと、ネイビーのシマウマのアイコンも気に入っていました。
──利用にあたってNewsPicksでは、未成年の方には保護者の許可を取っていただくようお願いしていますが、ご両親の反応は?
母に相談したら理解を示してくれました。
お風呂タイムに母と色々話すのが日課で、進路のことも、母にはこまめに考えを話すようにしていました。
「私が進みたいのは薬学の道ではない」と伝え続けて、一年ぐらいかけて納得してもらいました。幼い頃からコレと決めたことは譲らない性格なので、言って聞く子ではないだろうと諦めてくれた、というか。
──内山さんは利用開始から本名で使われていたと思います。その点は、心配されませんでしたか?
確かに、最初は心配されました。特に父は「インターネットで実名を出すのはちょっと……」と。
それでも私は、実名で発信するのはデメリットよりメリットが上回ると思いました。私のような、何者でもない若造の名前を覚えてくださる方がいたのも、高校生が実名で発信するめずらしさがあったからではないでしょうか。
──NewsPicksを使ってみて、一番の収穫は?
ピッカーさんとの出会いですね。自分の身の回りにいる大人とは違う人たちもいる、と気づくことができました。
リアルに接していた大人たちは、私が立ち止まって本質的なことを見つめ直す時間を、待ってくれない感じがありました。それが、NewsPicksに寄せられているコメントからは、若者に対する眼差しの温かさが感じられるというか、未来を担う存在だと応援してくれて、その優しさに心から勇気づけられたんです。
これまでは挑戦することに身構えていたのですが、ピッカーの皆さんと交流するうちに、うっすらとですが進みたい道が見えてきて、さらに一歩踏み出す力が湧いてきました。
起業イベントに参加
──NewsPicksの次は、どんな挑戦をされたのでしょうか。
NewsPicksで記事や皆さんのコメントを読んで、「若いうちから挑戦したほうがいい」と確信し、動き始めることにしました。これまでもイベントに参加したことはありましたが、まだまだ受け身だよな、と。もっと能動的に行動してみよう、と思ったんです。
きっかけを探し続けていたら、世界的な起業イベント「StartupWeekend」が、地元・つくばで開催されるというニュースが飛び込んできました。チームを作り、3日間でビジネスプランを作り上げるものです。
私に何ができるのか、分からないながらもワクワクし、参加を申し込みました。
──高校生でビジネスコンテスト!
このイベントでは、最初に全員がピッチ(短いプレゼンテーション)をして、面白かった5人が投票で選ばれます。私は運良くその中に入れたので、自分のアイデアでチームを結成することができました。
そのときにふと「面白いことをやりたいならプログラミングが必須だ」という記事を、NewsPicksで読んだのを思い出しました。私にはその力がないので、エンジニアの方と仲間にならねばと、情熱と勢いで口説いたんです。それが、のちに一緒に起業した筑波大生エンジニアの横山賢吾さんとの出会いでした。
自分たちで考えたビジネスモデルは、最終発表で準グランプリに選ばれました。ほとんどのチームはその場限りで解散するなかで、私たちはこのままアイデアをカタチにしようと、プロジェクトを継続することにしたんです。
──内山さんはブログでその事業計画を公開していましたね。自分が挑戦したいと思っていることを、広く宣言することにハードルはなかったですか?
何か新しいことを始めるときは、心の中でアイデアを温めているだけではダメで、とりあえず言い続けなくてはいけない、と思っていました。
転校の多かった小学校時代に、行く先々の学校で、新しい遊び方をはやらせるのが得意だったんですよ。秘密基地とか練り消しづくりとか(笑)。そうした「成功体験」があったから、実現したいことを発信しつづけると、流れが生まれやすくなるという感覚がありました。
そしてそれは、ビジネスであっても同じなのではないか、と。
StartupWeekendTsukubaに参加し「1分間ピッチ」をする内山さん。「せっかくやるなら、一生つきまとってくるような”課題”を解決することに取り組みたくて。そのとき自分が抱えていた”メイクのやり方が分からない”という悩みを切り口に考えました(内山さん)」
そして、起業へ
──事業計画をまとめた内山さんのブログ記事も、NewsPicksで話題になりました。
その頃には、NewsPicksのなかでも個別にやりとりをさせていただくピッカーさんがいて「温めているアイデアがあるので、自分の会社を作って実現させたい」とお話ししました。そしたら「まずは事業計画をブログに載せてみたら?」「私がピックしてあげるよ」「NewsPicksなら参考になるコメントが集まるんじゃない?」と背中を押してくださる方がいたんです。
もちろん、「一生懸命考えた事業計画にたくさんの批判コメントが付いたらこたえるだろうな」と想像もしました。でも、稚拙なアイデアでも、皆さんに知っていただき、さらにブラッシュアップできるなら、どんなコメントもありがたい。意地悪目的で絡まれても、受け流せばいいや!と。
結果的にその記事にはたくさんのコメントが集まりました。頂戴した意見をエクセルにまとめてエンジニアさんにも共有し、たくさんの気づきをいただきました。
さらに、その記事を読んでくださったピッカーさんから「力になれそうな知り合いを紹介してあげるよ」と、申し出てくださる方までいらしたのです。
感謝忘れず、やりたいことを貫く
──こうして内山さんがあたためてきたのがスマホ動画アプリ「FirstMake」ですね。
10代の女の子がぶつかる“お化粧のしかたが分からない”という課題を解決するために、メイクの方法を動画で解説するアプリです。現在は開発の最終段階で、3月中旬にリリースする予定です。
──2016年2月にはクラウドファンディングで会社の登記費用などを集め、3月には株式会社FirstMakeを創業。そして大学にも進学しましたね。ここまですごく順調に見えますが、振り返ってみていかがですか?
たしかにクラウドファンディングでは、目標金額を超えて、会社の登記やアプリをリリースする費用を皆さんからご支援いただけました。当初はFacebookやツイッターだけで募ろうと思っていたのが、ピッカーの方が見つけてNewsPicksでも拡散くださいました。本当にNewsPicksの皆さんのおかげです。
ただ、これまではあまり弱音を吐かないようにしてきましたが、私のなかでは、すごく苦しい一年でした。
たくさんの方のお話を伺ううちに、アプリの方向性がズレてしまって、いいアドバイスをまとめただけの、ゴテゴテしたアプリを作りそうになってしまったんです。
その結果、サービス内容を練り直すことになり、アプリのリリースが予定より1年以上も遅れてしまいました。
「高校3年のときに、このサービスを作るためにはじめてメイクしてもらったんです。やっていくうちに勉強して詳しくなりましたし、どんどん好きになりました(内山さん)」

その中で、意見をいただける方々に敬意を払いつつも、自分の考えを控えめに主張することが両立可能だということを、痛い目に遭いながら学ぶことができました。私にとって大きな財産です。
そして、発信を続ける大切さも、身をもって知りました。
私は、なかなか「困っている」が言えずにいました。でも、言葉にしないと「自分が何を考えている人間か」「どんなことで助けてほしいか」なんて、周りに伝わるわけがないよなと気づいたんです。
実は、大学に進学したものの、なかなか友だちができずに悩んでいました。同級生からは意識が高くて近づきにくい人だと思われてしまったみたいで、しばらくは授業もお昼もずっと1人でした。
でも、自分のことを周囲の人に素直に話すようになったら、少しずつ友だちができはじめたんです。そして、助けを求められるようになると、手伝ってくれる人も自然と集まってきました。
現在は東京理科大学で経営学を勉強するとともに、仲間たちに助けられながら、メイク動画づくりを進めています。春に新生活を迎えられる方々に使ってもらえたらうれしいですね。
内山さんのおすすめピッカー
「応援してくださった皆さんに、感謝の気持ちを伝えたいです。なかでも特に学びや気づきをくださった方の、お名前を挙げさせていただきます(内山さん談)」
私の挑戦を応援し、具体的に教えてくださることも多く、本当に感謝しています。Kaikeiさんはプロ意識が高いというか、馬のマスクを被ったりしているのに、専門的な記事を頻繁に書かれていて、しかも「好きだからやっている」という姿勢がカッコイイです。
高校生でも分かるように、噛み砕いた記事やコメントを書かれていて、ありがたいと存在でした。西村さんの情熱と行動力に圧倒され、刺激をいただいています。
過激な言葉を使わず、中立的でネガティブすぎないコメントを書いてくださる。読むと脳内のバランスがよくなる感じがして、柴山さんのコメントが好きです。
直接お会いしたことはないのですが、ツイッターでやりとりさせてもらって、お知り合いを紹介していただき、大変感謝しています! 人と人がつながっていく、インターネットの力ってすごいなーと思いました。
小野 編集後記:
アプリのリリースに向けてお忙しい時期にもかかわらず、インタビューに応じてくださった内山さん。自分が本気になれることを見つけたいと、スクールバスのなかでNewsPicksを熟読していた日々を思い出しながら、これまでのことを生き生きと話してくださいました。

内山さんが一歩ずつ前に踏み出そうとするとき、いつもピッカーの皆さんが見守り、応援してくれたーー。NewsPicksでの出会いが、リアルの世界にも広がっていく様子が伝わってきました。今回の記事で、内山さんの感謝の気持ちをお届けできたら、これ以上嬉しいことはありません。

それにしても、どんどん美しく磨かれていく内山さんに、会ってみたいというピッカーさんも多いのではないでしょうか。「人を見る目には自信があるんです」とおっしゃっていましたから、大丈夫だと思いますが、思わず母の目線になってしまってドキドキします……。「内山さんに会いたい!」というピッカーさん、どうかお手柔らかにお願いしますねー。