2016年に設立された、博報堂DYグループのデジタルビジネスを推進する博報堂DYデジタル。マスメディアとデジタルメディア、データとクリエイティブを統合し、クリエイティブ・マーケティング・プロモーション・CRM・データ解析・システム開発・デジタル戦略コンサルティングなど、あらゆる領域で新たなビジネスを創出している。同社だからできる仕事とは何か、デジタルビジネスはこれからどう進化していくのか。DMP(Data Management Platform)領域を担う柴田貞規氏に聞いた。
常に、“流れ”を見続ける
デジタル領域には、社会人になった1996年から一貫して携わってきました。Web制作やプログラム開発から始まり、2000年からはプロサッカークラブのデジタルマーケティングや、インターネット回線を使った映画やコンテンツ配信の企画など、当時まだほとんどの人がやっていなかったデジタルビジネスに着手していました。
今では当たり前となった、試合中の結果速報配信システムや、オールスター選手のWeb上投票の仕組みを手がけるなど、失敗を繰り返しながらも、やりたいことを形にしていましたね。
その後、ECビジネスを幅広く学ぼうと、アフェリエイト広告会社の立ち上げに参加。とにかく、「前に人が走っていない道」を進むのが好きで、流れを感じながら「次に身につけるべきは何だろう」と、1年ごとに自分のキャリアを振り返りながら、新しい領域に進んでいました。
その後、2007年から博報堂DYグループで働いていますが、実は、新卒採用で不採用になり、「博報堂に入りたい」という密かな思いをずっと抱いていたんです。いつか中途採用で入社しようという意志は強く持っていましたね。
株式会社博報堂DYメディアパートナーズ データドリブンメディアマーケティングセンター データマネジメントプラットフォーム部 部長/株式会社博報堂DYデジタル メディアソリューション本部データマネジメントプラットフォームユニット ユニットマネージャー 柴田貞規
2007年に博報堂DYメディアパートナーズに入社し、リスティング広告、アフィリエイト広告、DSPの責任者を経て、2013年からは博報堂DYグループのDMP領域責任者。
データ基点の一気通貫プランニング
博報堂DYデジタルは、広告主のデジタル化(デジタル・トランスフォーメーション)を、グループの中核としてサポートしています。ブランディングから施策まで、データを基点に一気通貫して行えるのが大きな強み。
広告主の販売現場へのリアルな施策から、CMクリエイティブ、デジタルメディアのプランニングまで、すべての発想に、根拠となるデータを用います。それが博報堂DYグループの「生活者DMP」と呼ばれるものです。
この「生活者DMP」には大きな特徴が2つあります。1つは、超大人数のデータを細かく保有しているため、生活者の24時間365日の行動を類型化できること。2つ目は、長期間にわたる生活者の行動がわかることです。
1~2年にわたる生活者の行動がわかれば、たとえば自動車の購入や、住宅購入の検討などの動きも時系列でわかるようになりますよね。
この生活者DMPを使って、私たちがデータを活用した広告施策のプランニングにおいて取り組んできた最重要テーマは、「ターゲットの再設定」です。これまでの4年間で180社を超える広告主とともに、生活者の細かい行動分析に基づいて戦略ターゲットを見直し、新たな施策立案を進めてきました。
たとえば、「ビールを月に4本買う」という行動ひとつでも、毎週金曜日の仕事帰りにコンビニで1本買い月合計で4本になるのと、日中にスーパーでまとめて買う4本では、買う人の属性もシーンもまったく異なります。
「ビールを4本買った」という事実だけでは見えない、具体的な生活者像を捉えることで、ターゲット設定を細分化し、新しいプランニングができるのではないかと考えたのです。
データだけに頼ると失敗。経験と勘も大切
DMPに取り組んだ当初は、博報堂DYグループとして持っていたデータは、Webの行動データ(Cookieベース)が中心でした。このデータを使って、広告主の自社サイト訪問者分析や購入者分析を行ってみたのですが、なかなか結果につながりませんでした。
広告主のご担当の方へ、何の下準備もしないでデータによる資料を持ち込んで怒られるということが何度かあったので、いきなりデータを持っていくことはせず、しっかり事前にヒアリングをしてからミーティングにのぞむようになりました。
今までやってきたことや、想定している顧客像など、ビジネスを進める上で必要な情報をとことん集めましたね。
その結果として、店頭施策からマス・デジタルのクリエイティブ制作まで、すべてにおいてデータを基点に動くことで、客観性のある成功事例、失敗事例が積み上がり、ターゲット設定を精緻に進めていくことができるようになりました。
失敗続きでしたが「そこから新しい道が生まれるなら」と2年もの長期を許容してくれた会社にもかなり助けられましたね。長期的な視点に立ってプロジェクトを進められる環境は、博報堂DYグループならではだと感じています。
データをリアル現場でどう活かすか
今後手がけたいのは、販売・営業現場などリアルな場へのデータの提供です。これからのデジタルマーケティングは、デジタルに裏付けされたデータを、リアルな場でいかに活用すべきかに、視点が広がっていくと考えています。
たとえば、小売の現場では、各店舗の店長さんが、日々、どう店を作るべきか、どうやって生活者を惹きつけるかということを考えています。その結果が、利益になっていく。
エース店長が手掛ける棚づくりは、他と何が違うのかを分析し、データによる効果的な陳列法を加えていってはどうか。そうすれば、属人的だった棚作りを全店舗に汎用でき、売上の大幅アップにつなげられるのではないかと思うのです。
お金が一番動いているリアルな場で、データは何ができるのか。私自身も、デジタルの域を広げて、道なき道を開拓することでキャリアを積み上げたいと思っています。
博報堂DYグループの強みは、デジタルやマス、リアルなどマーケティング全体を見てプランニングできることです。だから今、デジタル領域にしか関われていない人や、リアルな店舗やテレビ広告でのマーケティングまで含めて、キャリアを積み上げたいと思っている人には最適な場所だと思います。
他者にはない「生活者DMP」というデータの武器を持って、時代の先を見据えながら、博報堂DYデジタルで新しい提案・挑戦に挑んでみませんか。
グループ全社を含んだ大きなリソースと、挑戦を継続できる環境が、きっとあなたを後押しします。
(取材:田村朋美、文:田中瑠子、写真:隼田大輔)