さらば東大プレミアム、実力主義の新卒革命始まる

2017/2/20

新卒も即戦力の時代か

東大、早大、慶大──学校歴が内定のパスポートになる……そんな時代がいよいよ終焉に近づいている。
かつての新卒採用といえば、大学でやってきた研究がそのまま職業につながる理系職を別にして、一律「総合職」として採用されるのが常だった。
しかし、ここへきて、JTやリクルートホールディングスなど大手を中心に「イノベーション人材=未来の幹部人材」を別枠で採用する動きが増えた。
そこで、イノベーション人材の候補者として急浮上し始めているのが、企業での実務インターンや学生ベンチャーの起業、AIやデータ解析の専門的実務などを経験した高いスキルを持つ学生──名付けて「プロ学生」の存在だ。
「プロ学生」は通常の「新卒」には収まらず、高額初任給の提示、最初から幹部候補として採用、「プロ学生」向けの部署を用意といった厚遇を受ける。
学生にも確かな「スキル」「即戦力」を求める時代が到来しつつあるのか──。
こうした特A級の「プロ学生」は、リクナビ、マイナビなどのナビサイトを必要としない。
そのため、企業側は積極的に直接彼らにアクセスする。だからこそ、企業の新卒採用のチャネルは年々多様化する一方だ。
人事・採用のコンサルティングを行う人材研究所代表の曽和利光氏は、「大手企業の採用の軸足は、『オーディション型』から『スカウト型』に変化している」という。
曽和利光(そわ・としみつ)
1971年生まれ。1995年京都大学を卒業後、リクルート入社。同社人事部のゼネラルマネジャーを経たのち、ライフネット生命総務部長(人事責任者)、オープンハウス組織開発本部長および人事採用部門責任者を歴任し、2011年10月人材研究所を設立し現職(写真:菅原聖司)。

先輩・内定者引っ張りルート

特に増えているのがインターンを介した採用や、リクルーターやOB・OG、もしくは、昨年の内定者が所属していた大学の体育会や研究室の後輩などから光る人材を探してくる「リファラル採用(社員の紹介による採用)」だ。
企業のなかにはこうした採用を「SNHR(先輩・内定者引っ張りルート)」などと呼ぶ会社もあるほど、その存在はメジャーになっている。
このような採用の多様化を受け、学生は、OB・OG訪問やリクルーターとの接触、今からでも間に合うインターンの参加など、少しでも企業との接触機会を増やしたほうがいいことは、言うまでもない。
上位校の学生の間でも、「プロ学生」と「普通の学生」との間で格差が増大し、年々長期化、複雑化するニッポンの就活は、どこに進むのか。
特集を通じて、その最先端を追う。

今年東大・早慶が選んだ企業は

「東大・早慶の就活 2018年卒」は、3部構成に分けた。
「第1部」では、主に2018年卒の最新の採用動向を追う。
第1回では、電通やソフトバンクなどで破格の待遇を受ける「プロ学生」の素顔に迫った。
第2回は、NewsPicks編集部が「ミス・ユニバース型」や「ドラマ型」と名付けた特殊なインターンを介してエリート人材を採用するP&G、JT、リクルートホールディングスの採用動向をリポートする。
第3回は、面接にもインターン的要素を取り入れた「ジョブ選考」の実態や、その対策について紹介する。
第4回は、東京大学、京都大学、早稲田大学、慶應義塾大学、そしてMARCH(明治、青山学院、立教、中央、法政)と呼ばれる大学群の学生が、週刊誌『サンデー毎日』が毎年選出する人気企業にいったいどれほどの割合で入社しているか、そのランキングを一挙に掲載する。
第1部の特集の後半である第5〜7回は、「実践編」だ。
第5回では有名大学に出回るテストセンター対策の虎の巻の一部を公開。
第6回では2017年卒と2018年卒の有名企業内定者、およそ15人を直撃し、内定につながった「ガクチカ(学生時代に力を入れたこと)」のエピソードや、面接官との対話を忠実に再現する。
そして第7回では、現役東大3年生7人に一般的に保守的と言われる東大生の会社選びに変化はあるのか、すでに内定は持っているのか、そして、内定が取れない東大生の特徴などについて聞いた。
特集「第2部」は、3月6日から7日連続で掲載。そのテーマは、2016年、2015年の就活特集でも好評だった、有名企業社長、官公庁幹部ら各界で活躍する先達が語る 「もし22歳に戻れるなら、あの会社に入りたい」だ。
DMMの亀山敬司会長、ジャーナリストの田原総一朗氏、コンサルタントの波頭亮氏、現役のソニー最年少課長、経産省幹部らが選んだ、「入りたい会社」とは──。
特集「第3部」は、3月20日より7日連続で掲載する。東大、京大、早慶生などハイエンド就活生の本命企業は──。NewsPicks編集部が東大、京大をはじめとする旧帝大、早慶、東工大、一橋大の就活生を対象に実施したアンケート結果を一挙公開する。
また第3部では、三菱商事、伊藤忠商事、パナソニック、JTなど人気企業の採用担当責任者のインタビュー取材を実施。2017年、特に重点的に採りたい人材の資質や条件について聞く。
NewsPicksの就活特集をぜひ、皆さんの就活に役立ててほしい。
(デザイン:中川亜弥)