「一つの中国」をめぐる米中確執はこれで終わらない

2017/2/16
米国のトランプ大統領が、中国の習近平国家主席と電話会談を行った。その際、トランプ大統領が「『一つの中国』政策を尊重する」と語ったことが大きなニュースとなり、あたかも「トランプ大統領が中国に譲った」かのような見解が流れた。
しかし、それは米中の「手打ち」に対する期待値や先入観を持ち込みすぎた、いささか危うい受け止め方ではなかっただろうか。
複雑な概念である「一つの中国」をめぐっては日本、米国、中国、台湾に限らず、どこの国のメディアでも、トランプ大統領の言葉に対する明晰な分析が十分ではなかったように感じた。逆に「一つの中国」について、誤解が広がった可能性すらある。
最も深刻なのは報道で散見された中国の「原則」と米国の「政策」の取り違いである。
これは「一つの中国」をめぐるレッスンの「第1課」のようなところで、ここで間違えると、その後の議論はほとんど意味をなさなくなる。しかし、えてして、ここでつまずいてしまうケースは少なくない。そしてそれでは、「原則」と「政策」を混同させようという意図を持っている中国の思うツボに落ちてしまう。

深刻だった「政策」と「原則」の混同