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人材育成という観点で見ると「AI技術が日々進歩している」からです。
人材育成とAIは別々に議論されることが多いですが、実はこれらは密接に関係しています。
人材を目的創造型⇄目的従属型、プロセス創造型⇄プロセス従属型の2軸で4パターンに分けると、
各カテゴリで優秀とされる人材は、
①目的従属&プロセス従属型→問題の解き方を習得して、勉強ができると言われる人
②目的従属&プロセス創造型→企業で業務を効率よくこなし、仕事ができると言われる人
③目的創造&プロセス創造型→アントレプレナー、イントラプレナー(これらがイノベーター人材)
※目的創造&プロセス従属型の人材はあまりいない
すなわち、①を満たす人材でも、プロセス(仕事のやり方)を自分で創造できない人は、
「学歴がいいが、仕事ができないやつ」と言われ、②を満たす人材でも、目的(ニーズ)
を自分で創造できない人は、「企業では活躍していたが、起業してパッとしない」と言われるわけです。
これをAIに当てはまると、
①目的従属&プロセス従属型→電卓のような簡単なアルゴリズム
②目的従属&プロセス創造型→目的が与えられば最適関数を導出できる(ディープラーニング)
③目的創造&プロセス創造型→目的も自分で作ることができる(シンギュラリティ)
となります。
20年後に、AIに仕事の半分が奪われると言いますが、奪われるのは①や②の人材がやっている仕事です。
残念ながらAIは②まで来てしましました。
ただ、AIが発達しても③に達するには時間がかかります(①から②に行くのに30年かかった)。
すなわち、企業としては③のタイプのイノベーター人材を育成すれば、AIが発達しても社員解雇しなくてもOKなので、しばらくは現場の混乱は起きないですね。
因みに、イノベーター人材は「デザイン思考」のトレーニングをすれば育成できます。
さらにイノベーターを発掘する試験もAIを使って作れます。
「AIに負けない人材を発掘するためにAIを使う」というのが、何とも趣がありますね。
賢い学生ほど、大企業に入ると自由にやれない感は理解していて、
・超マジョリティが保守的
・イノベーションには失敗がつきもの
・失敗したら左遷、出世コースから外れる
・成功しても見返りは少ない
・そもそもチャレンジまでに大量の根回しと稟議書が必要
・そして「やっても良いけど失敗して責任取れんの?」とプレッシャーかけられる
みたいに認識してます。大企業という枠組みで、そう認識している。 論理的に。
だから「ウチは大企業だけど、違うぜ」というのをファクトベースで論理的に伝えられれば学生の認識は変わるはず。でもそれが根拠の無いイノベーション推進スローガンだと、「結局社長や人事が言ってるたけで、現場は昔と変わらない」と判断される。
逆にイノベーションに挑戦するには不幸な会社なのにイノベーションで学生を釣るのは止めましょう。人生を狂わせる。
カヤックでは中途採用で「カヤックを変えてください」というメッセージがあって僕も結構好きで使ってるんですがもう一つ「変化を起こしやすいような組織をつくってますよ」というメッセージであるとも思ってます。例えば、僕はカヤックに入ってから中途採用の仕事をするようになったんですが、入社してから3日目くらいに採用戦略みたいなのを作って、それをその場で代表に見てもらって「いいんじゃない。とりあえずやってみれば。」って言われて「おいおい、そんなんでいいのかよ(笑)」ってくらい簡単に計画に承認が取れちゃったり、最近入ったデザイナーの人も入社1ヶ月も経たないうちにアートディレクターを任されることになったり。
とにかく、何かを進める上で余計な承認プロセスも無いですし、入社からどれくらい経ったかとか関係なく、つくったものがいけてるかどうかだけでフラットに評価してくれる、そういう組織文化・風土がカヤックで変化が起こしやすい理由なのかなと思ってます。
もちろん、そういった文化・風土が重要な会社なので採用にはめちゃくちゃこだわってますが、「イノベーター」みたいな人にこだわって採用してたりはしないです。だから前職では活躍してなかった人でも、カヤックだったら活躍できそうって人は積極的に採用してます。何を隠そう僕も前の会社ではB評価とかそんなんばっかでしたし(笑)
だからイノベーターを採用する手法を考えることよりも、誰でもイノベーターになれるようなそういう組織づくりの方が重要なんじゃ無いかなーと思います。採用担当のくせに(笑)
新卒採用で「イノベーション人材」という言葉が先立ってしまうのが怖いです。大抵の優秀な人は「ものごとをより良くしたい」「より効率的にやりたい」と思っているわけで、それを「組織」や「空気」が邪魔していないかに目を向けた方がいいでしょうね。
イノベーションが生まれていない組織に、新卒採用でイノベーション人材とやらを数名入れたところで、何か変化が起こるのでしょうか。ヤフーさんの言葉を拝借すると、一人ひとりの才能と情熱を解き放つ、そういう組織こそがイノベーションを起こせるのだと思います。(私がいたAmazonもリクルートもそうでした)
これは、SAPという平井社長直轄の仕組みが出来上がっているから出来ること。
経営陣がコミットした仕組み無しで、採用担当者の想いや、無責任な煽りでこのような採用すると、不幸な人が増えるだけ。
リクルートキャリアは、どこまで責任持ってこの記事を書いているのだろうか?
上記のプロセスを経れば、求める人材はひとつではなく複数のタイプに分類されるのでしょうし、それぞれの比率も設定されるはず。
当たり前のように見えるプロセスですが、やれている企業はあまり多くないという印象です。
将来的な採用減と同時に、優秀な人材の流動化がいよいよ本格的になってきたということも大企業の雇用維持・拡大に影響を及ぼしているかと思います。
従来の終身雇用・年功序列的なマインドが残っている上層部がいる限り、外から人材を連れてきて自分の上に配属されるのは楽しく無いわけで、それなら優秀な新人はたくさん採って起きましょうってことになる。
しかし、仮に超優秀な新人を多く採用できたとしても、彼らの働きに見合う仕事、地位を与えていけば後輩が自分の上司になるのでこれまた楽しくない。結局、そこそこの仕事を与えられるだけで満たされない若者たちは流出していく。
したがって、大企業に限らず日本企業は今までの人事制度、習慣を思い切って打破していかない限り、少しずつ欲しい人材が取れなくなっていくのでは無いかと考えています。