「150bpmのテンポ」と「長調」
人生は、ときには保険屋の元配偶者に恋人を取られることもある。上司に裏切られ、ボーナスがほとんどなくなってしまうこともある。そんなときこそ、音楽を聴いて元気になろう。その目的にかなう曲を、ここにご紹介する。
以下は、オランダにあるフローニンゲン大学の認知神経科学者ヤコブ・ヨレイ博士がまとめたリストだ。ヨレイ博士は2016年、英国の電子機器ブランド「Alba」の依頼を受けて「世界で最も元気になる歌」10曲をリストアップした。
科学者であるヨレイ博士は、選曲する前にまず公式をつくった。元気になる歌には、決まった条件があるはずだからだ。
ヨレイ博士はウェブサイトで「私が導き出した公式は、歌詞の肯定的な要素を数値で表し、それを『150bpmのテンポ』と『長調である』という条件(元気が出る歌の多くがこれにあてはまる)からどれだけ離れているかで割ったものだ」と書いている。
ではご紹介しよう。Albaの調査とヨレイ博士の分析によると、以下の10曲こそ世界で最もあなたを元気づけてくれる歌だ。
1.「ドント・ストップ・ミー・ナウ」クイーン
この歌を聞いて元気にならない人がいるだろうか。絶対、力がみなぎるだろう。なぜなら君は「楽しんでる、楽しんでる(having a good time, having a good time)」「再装填を待つセックス・マシーン(a sex machine ready to reload)」。
それに「火星に向かうロケット(a rocket ship on my way to Mars)」さえ登場する。これこそ天国じゃないか。あっという間に天国だ。
2.「ダンシング・クイーン」アバ
この曲で本当に元気が出るのだろうか。たしかにラブリーではあるが、ダンスとスイングの歌だろう。とにかく私はダンスの曲だと思ってきた。それにしてもアバの音楽は、たいていが何か切ない感じがする。
3.「グッド・バイブレーション」ザ・ビーチ・ボーイズ
たしかに「気分が良くなる音楽」以外のカテゴリーにはあてはめられないと思う。気分が良くてドキドキワクワク、という歌だ。この歌のハーモニーは、ヒッピーにもとても愛されている。だが私のなかでは、ベスト3には入らない。少し気取った感じがするのだ。
4.「アップタウン・ガール」ビリー・ジョエル
ビリー・ジョエルのコンサートを観たことがあるだろうか。まさしく完璧なパフォーマーだ。彼がこの歌を歌い始めると、もう座っていられなくなる。そう、元気になる曲そのものだ。
ジョエルはこの歌を、のちに結婚することになるスーパーモデル、クリスティ・ブリンクリーのために書いた。ジョエルが「backstreet guy(裏通りの男)」で、ブリンクリーが「Uptown Girl(高級住宅地の女の子)」というわけだ。
だが、2人の結婚生活はうまくいかなかった。そこに多少の違和感を感じるが、よしとしよう。
5.「アイ・オブ・ザ・タイガー」サバイバー
この曲のイントロが流れないNBAの試合会場があるだろうか。底力を出したい場面でよく流れる歌だ。「元気が出る」というよりは「緊張と興奮が高まる」曲ではないだろうかとも思うが、細かいところにこだわりすぎだろうか。
いずれにせよ、これはサバイバルの歌だ。「もしかしたら負けるかもしれない」という戦いのスリルの歌だ。元気が出る歌というよりは、危険を前にした歌だろう。
6.「アイム・ア・ビリーバー」ザ・モンキーズ
そして君は「彼女の顔を見た(I saw her face)」。それが信じるってことだ。信じる心が、顔に表れる。何にでも立ち向かっていける。誰かと会う前に聞くとぴったりの歌だ。心に何の疑いも抱かずに、鼻歌を歌いながら部屋に入って行けるだろう。
7.「ガールズ・ジャスト・ワナ・ハヴ・ファン」シンディ・ローパー
元気が出る歌である気もするし、そうでない気もする。オープニングは少し古臭い感じ。だが、歌に込められた気持ちは素晴らしい。本当の讃歌というものは、力強く生き残るのだ。
8.「リヴィン・オン・ア・プレイヤー」ボン・ジョヴィ
間違いなく、仕事に向かうたくさんの人が歌うのにふさわしい歌だ。「埠頭で働いていた(Tommy used to work on the docks)」。「食堂で働いていた(Gina works the diner all day)」。そして「運に見放された(he's down on his luck)」。
それにしても「うまく行こうが行くまいが、違いはない(it doesn't make a difference if we make it or not)」という歌詞は元気が出るのだろうか。
いや大丈夫。われわれは「道半ば(we're half way there)」なのだから。「祈りを糧に生きている(livin' on a prayer)」のだから。そしてわれわれは「挑戦してみる(we'll give it a shot)」。頼みにできるのはそれだけだ。もちろん、お金は別にして。
9.「恋のサバイバル」グロリア・ゲイナー
「元気になる歌」の多くが、成功の歌というよりはサバイバルの歌というのには驚くべきことだ。たぶん、何か学ぶべきことがあるのだろう。サバイバルには、気高さと気持ちの高まりがある。
「打撃を受けたけれど、自分の道を生きた(the record shows I took the blows and did it my way)」なら、きみはサバイバルしたということだ(まあ、これは「マイ・ウェイ(My Way)」という別の歌の歌詞だけれど)。
「初めは不安でおびえていた(at first I was afraid, I was petrified)」。だが曲のテンポが速くなり、突然「はるか彼方から戻ってくる(you're back from outer space)」のだ。なんてすばらしい人生だろう。
10.「ウォーキング・オン・サンシャイン」カトリーナ&ザ・ウェイヴズ
それは楽しげなサックスで始まり、幸せなセックスで終わる……と言われてきた。私たちはみな「太陽を浴びて歩き(I'm walking on sunshine)」たい。
念のために言うと、これは、恋人が来ることを告げる手紙を待つ女性の歌だ。この歌の高揚感を生み出しているのは「期待」のようだ。そう、高揚感はギャンブルと似ている。勝つこと自体が目的というより、ドキドキする気分を味わいたいのだ。
でも、たしかに「いい気分」になれる歌だ。落ち込んだときのために覚えておくのにふさわしいだろう。
原文はこちら(英語)。
(執筆:Chris Matyszczyk/Owner, Howard Raucous LLC、翻訳:浅野美抄子/ガリレオ、写真:Rohappy/iStock)
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This article was produced in conjuction with IBM.