【SONY】その「ビートルズな楽曲」は、無人で作れるのか
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最適化(数理計画法),最適設計法(応用として航空機設計)を研究対象としている者としての意見です.
「作曲」とは,音の高さと長さを設計変数とする設計問題にすぎません.設計結果である音の並びを音楽として人間が聞いた時,人間が感じる心地良さが評価指標,すなわち評価関数(目的関数)です.ただし,この評価指標は ばらつき ,つまり不確実性が存在する.一方,音楽にはルールがあり,決められたパターンが存在する.これは設計変数に対する制約条件として定義される.
すなわち,ヒットする音楽の作曲とは,最適化問題(数理計画問題)の求解である.ただし,設計変数の数が多く(おそらく数万規模),さらに制約条件は数が多く,非線形,不連続である.ゆえに,大きな次元を持ち,かつ複雑な様相をした設計空間に対する最適化問題である.しかも,評価関数が不確実性を含む点が求解を難しくしている.
それではどのように解を求めるか? 記事中にある「機械学習」は数理計画法の一種であり,大域的最適解とは言えないが,最適解の候補をとりあえず求めるために,相応しい手法である.
何が言いたいか.
「作曲」は,機械や飛行機を設計する行為と変わらない.ヒット曲を生み出すというのは,そこに最適化手法を適用することである.
重要だと思うのは,上で制約条件として挙げた音楽のルールとパターンです.これはあくまで人間の思い込み(バイアス)に過ぎません.ここを変えれば,違う音楽,もしかすると,もっと評価関数の良い,多くの人間が心地良いと感じる音楽が生み出されるかもしれません.今,このルール変更は人間がしないといけません.
例えば分かりやすい例で言うと,江戸時代,日本人は和楽(和風の音楽?,すみません.専門でないので何と言うか分かりません)が全てだと思っていた.つまり和風音楽の旋律がルールであり,その制約条件下で音楽を作っていた.それが明治になると洋楽に代わった.つまりルールが変わったわけである.今,このルールの定義は人間が与えていますが,もっと良いルールは存在しないことが証明さていますか?
さらに計算機の処理能力が上がると,人間は計算機上で不確実性なくモデル化され,ルール自体も設計変数とする最適化が可能となる.もはや人間は要らない.つまり,人間は計算機,この記事で言うところの人工知能(AI)に敵わなくなる.ビートルズ好きとしては、色々考えさせられる楽曲でした!
追記 ちなみに、AIと人間のクリエイティヴィティの分業については、AI映画の取材面白かったです。
https://newspicks.com/news/1865254/
もしよろしければ『俺の音楽にジャンルなんてない。俺は俺でしかないから!』
このような言動を繰り返すアーティストに限ってどこかで聞いたことがあるベタな曲調だったりすることもしばしば。
どんなに天才を自任しようとやはり過去の遺産からの影響からは逃れることはできませんし、またそれが悪いことだとは思いません。
私は家にCDとレコード合わせて4000枚あるのですが、ここにある音楽に影響を受けた人が作曲をしたらどんな楽曲になるのか。ぜひ「AIさん」に聞いてみたいところです(笑)。