ラリー・ペイジを悩ませた、グーグルの「領土問題」
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注目のコメント
前回のコメント(https://newspicks.com/news/2005751/)でも書いたが、現在のAlphabet体制は、Googleがキャッシュカウとして資金を稼ぎながら、新しいテクノロジー領域への投資を健全に行うという、まさにラリーが描いた姿を実現するためのものだ。
すなわち、本稿にある「グーグル連邦」の樹立である。数多くの新規事業ユニットを統廃合の上、それぞれが予算管理やビジネスモデル、ブランディングにおいて"グーグル連邦政府=Alphabet"から独立して自治を可能にするという、この体制自体、ラリーの構想を実現するための"Big bet"とも言える。
向かうところ敵なしのようにも思われるGoogleだが、少なくともandroid以前は、いわゆるブランディングの苦手な企業だった。意外に思う人もいるかもしれないが、ユーザーセントリックなプロダクトの「ユーティリティとしての優位性」が自然にブランドを形作り、結果的にブランド優位性を高めてくれただけだ。
ユーザーのライフスタイルやファッション性に寄り添う必要のあるSNSやハードウェアにはブランディング的なセンスが必要だが、それがGoogleには欠ける。そこが古くはAppleや(かつての)Twitter、最近ではSnapchatとの違いだ。このことはそれぞれの創業者、スティーブ・ジョブズ、ジャック・ドーシー、エヴァン・スピーゲルとラリー&サーゲイを比較すると腑に落ちるだろう。Googleはどこまで行っても、エンジニアの会社なのだ(それがGoogleの魅力でもあるが)。
そうして考えると、Alphabetが、次世代型のインターネットテクノロジー企業として脱皮するには、ブランディングの面は無視できない。前述のSnapchatは代表的な例だが、AirbnbしかりUberしかり、SNS後のインターネットユーティリティサービス企業は、この領域に投資を惜しまない。
様々な観点で、Googleの業績は相変わらずの好調を維持しているが、Google/Alphabetは創業以来の大きな過渡期にいることは間違いない。失敗を大きくしないという意味で新CFOの存在は大きいかもしれませんが、グーグルが躍起になっている新事業創出という観点でプラスがないことは確か。この点でどうグーグルが進化していくのか、今後も興味はつきませんが、今回の記事のような話を聞くと、一方で大企業病が始まっているのかもしれないな、と感じます。
20代のころ、また自分で事業を始める前は組織体制なんて大して重要じゃないと思っていました。それぞれの事業が別会社として収益を上げるのか、一会社の一部門として収益を上げるのかは対して変わらないと。
逆に最近は組織体制が企業の実績の源泉と思うほど重要だと思うようになりました。実務・成果・評価・報酬といったスタッフのモチベーションに大きく影響するからです。
一方で組織ほどロジカルに解を見出しにくいものはないので、どのような企業でもいろいろトライして少しずつ調整して、という対応にならざるを得なくて、グーグルですらそうなのか、ということを改めて感じる記事でした。