[ニューヨーク 11日 ロイター] - トランプ次期米大統領は11日に開いた会見で、製薬会社は「殺人」の罪を犯しているにもかかわらず、罰せられておらず、政府に多額の費用を負担させていると批判、薬価の改革を進める意向を表明した。

また海外へと拠点を移す動きが加速しているとして、製薬業界を国内に回帰させる必要があるとした。

米国では、生死にかかわるような医薬品の価格が大幅に値上げされたことで製薬業界への批判が高まっている。

トランプ氏は薬価をめぐり、新たな入札制度を導入し、費用を圧縮すると主張。「われわれは世界最大の医薬品の買い手であるにもかかわらず、適切な価格設定が出ていない。入札を開始し、数十億ドルを削減する」と述べた。

トランプ氏は選挙期間中、メディケア(高齢者向け公的医療保険)プログラムについて、現在は法律で禁止されている政府と製薬会社との薬価交渉を可能にするとしていた。メディケアは、医薬品費として毎年数千億ドルを支出している。

トランプ氏の発言を受けて、製薬株は軒並み安となり、アーカ医薬品株指数は1.7%安で引けた。

米国研究製薬工業協会(PhRMA)の会長は「医薬品は競争の激しい市場において、事情に精通した大規模な買い手が積極的に価格交渉して購入している」と指摘した。

その上で「米国の競争力を高め、国内の雇用を守るため、トランプ次期大統領や議会と協力していく」と表明した。

ロシュ・ホールディング<ROG.S>傘下ロシュ・ファーマシューティカルズのダニエル・オデイ最高経営責任者(CEO)はJPモルガンのイベントでインタビューに応じ、過去数年間の医薬品値上げは「責任ある」対応であり、上げ幅も1桁台前半から半ばにとどまっていると指摘した。

*内容を追加しました。