【井上智洋】日本は世界初のベーシックインカム導入国になれ

2017/1/13
この数年で欧州や米国西海岸で盛り上がりを見せるベーシックインカム(BI)。特集では、米シリコンバレーを中心に、人工知能(AI)の進展で人間が職を奪われる社会保障という論点で、起業家を中心に盛り上がっていることを紹介してきた。
だが、日本では、そうした米国のムーブメントや従来のBI研究とは別に、AI時代の社会保障として、独自のアプローチでBIの研究成果を出した経済学者がいる。
駒沢大学経済学部講師の井上智洋氏だ。
慶應義塾大学時代に、計算機科学(コンピューターサイエンス)を学んでいた井上氏は、人工知能への深い理解をもとに、AIがもたらすマクロ経済への影響を研究し、新時代の社会保障としてBIを提唱している。
井上氏に経済学の観点から見たAI時代のBIについて、解説してもらった。
汎用AIがもたらす大きな変化
──著書の『人工知能と経済の未来』(文春新書)では、AIの技術進歩が経済に与える影響について分析されています。
AIなどの技術進歩は、①生産の効率性を向上させ、②人間の労働の大部分を代替して経済構造を変化させることで、経済を成長させます。
なので、政府が経済成長のために、イノベーション政策を採る場合は②も考慮に入れないといけません。
イノベーションによる労働の代替は、経済学で言うと、「技術的失業(テクノロジー失業)」です。
産業革命から今までも、技術的失業は発生していましたが、一時的で局所的な問題にすぎず、新たな雇用が生まれることで失業は吸収されていったので、経済学者の中心テーマではありませんでした。