この連載について
すべての国民に対して生活に最低限必要な収入を給付するベーシックインカム(BI)。2017年は、フィンランドで国民の一部に、約7万円を配るパイロット試験が開始されるほか、米国でも、ベンチャーキャピタルの「Yコンビネーター」が試験を計画するなど、BIがいよいよ進み出す大きな年となる。社会保障だけでなく、国民の「働き方」を大きく変え得るBI。なぜ、今世界でBIが必要とされているのか、日本で導入される可能性はあるのか、ムーブメントの最先端をレポートする。


この連載の記事一覧

【山崎元】日本は「持久戦」でベーシックインカムに向かうべき
NewsPicks編集部 275Picks

【波頭亮】21世紀の「人類の叡智」こそがベーシックインカムだ
NewsPicks編集部 215Picks

【前澤友作】僕が、ベーシックインカムで目指す「当たり前」のこと
NewsPicks編集部 393Picks

【現地ルポ】ベーシックインカムはフィンランドを救えるか
NewsPicks編集部 215Picks

【井上智洋】日本は世界初のベーシックインカム導入国になれ
NewsPicks編集部 369Picks

イーロン・マスク、FB創業者…米リーダーがBIに熱狂する理由
NewsPicks編集部 451Picks

【3分解説】なぜ世界は今、ベーシックインカムへ向かうのか
NewsPicks編集部 919Picks

【北欧要人】ベーシックインカムは「すべき」ではなく「マスト」だ
NewsPicks編集部 630Picks
「全員に金を配る」。壮大な社会実験が始まった
NewsPicks編集部 2795Picks
例えば、巨額の費用が必要という事は、究極の「大きな政府」を作るということです。
国からの給付だけで暮らしていけるということは、裏を返して言えば、生殺与奪の権限を全て国が握る社会を作るという事です。
その社会で、個人の自由と独立が侵されない可能性は本当にないのでしょうか。
これは別の側面からも言える事です。
例えば、現代の資本主義社会は、プロテスタンティズム的な勤労の精神と価値観に立脚し、富の拡大再生産を繰り返す事で成立しています。
産まれたその日から、何もしなくてもお金がもらえる天賦の権利が与えられた人間が、本当に正しい勤労の意欲を持ち得るものでしょうか。
働くという行為は、生活の為、お金の為だけではありません。
仕事を通じて、人は社会と接点を持ち、お互いに助けあっているのです。
自分の仕事が、人の役に立ち、社会の役に立ち、そして人は仕事を通じで、お金だけでなく精神的な満足や幸福も得ることができるのです。
少なくとも現代社会は、労働によって、個人が相互扶助的に結ばれ、社会を形作っています。
そうした社会の結び目が崩れ、人間が孤独になり、仕事を通じて社会の役に立つという規範を失った時、本当に人は正しいモラルを維持できるのか。
私はとても疑問に思います。
では、もし、勤勉の価値観が崩れ、働かない人達が、働く人たちからのより多くのBIの分配を求めたら、社会はそれに抗う事は出来るのでしょうか。
民主主義は、基本的に税金による受益者が、納税者を上回ると機能しなくなると言われます。
圧倒的な数の受益者を抱えたBI化で現状の民主主義が機能するというとそれは不可能で、だからこそ共産主義は科学的配分のために民主集中制という名の、独裁制を取らざるを得なかったのです。
(さしずめ21世紀の民主集中制はAIということになるのでしょうか)
共産主義の末路を考えれば、BIは20世紀の共産主義の悲劇を再現させかねません。
BIは単に財政の問題ではなく、その本質はかつての共産主義の理想と同様、善意の石が引き詰められた、デストピアへの道の様な気がするのは私だけでしょうか。
付け加えれば、日本では、現存の社会保障制度は、手厚すぎ、非効率で、高齢者に偏っていると思いますが、国民皆保険であり、生活保護と合わせると世代を通して最低所得が保証されています。一方で所得税・相続税の累進度は異常に高く、相当に共産主義的な運営になっており社会の活力を下げています。この上、何をもってBIに置き換える必要があるのか、その積極的な理由はとても見出しにくい。現在の社会保障制度を見直して給付水準を下げる必要があるくらいなのに。
しかし、一番重要だと思うのは結局BIと言われているものは突き詰めると「年金など高齢者に重点配分してるコストを全員で山分けすれば意外とみんな暮らせるんじゃね?」くらいのアイディア、という感じで「まあ、そうだけど、無理じゃね?」というのが普通の反応な気がします
特に日本においては社会保障の年代感格差がひどく、是正が必要なのは間違いないので、BIをある意味「錦の御旗」にして推進できるならよいのですが、ただでさえ無理筋な改革を迫る割には突っ込みどころが多過ぎて、筋悪な気がします
①労働意欲の低下と労働人口の減少リスク
②それによる総供給の低下とインフレリスク
③移民や難民の過剰入国のリスク
④手厚い保証を要する弱者切り捨てのリスク
⑤子供や老人や障害者への虐待や搾取のリスク
⑥国民の国家への依存と自立性の低下リスク
⑦過剰な人口増加リスク
それらへの対策としては
①元々労働意欲の低い国には適さない
②途上国などのインフレ経済国には適さない
③EU等の国境のない文化圏には適さない
④アメリカ等の自己責任論が強い国には適さない
⑤代理支給には訪問支援の必須化など監視強化策
⑥支給額を低めに設定し労働意欲を保持する
⑦低めの支給額にて地方移住や集団生活化を推進
つまり働きすぎで過労死大国になるほどの世界でも有数の真面目な国民性を有し、20年以上デフレが続きデフレが文化となった島国で、東京一極集中し少子高齢化に苦しみつつも皆保険・皆年金・生活保護という社会保障先進国である我が国は、世界で一番BIと相性がいい国ではないでしょうか。
長年の蓄積があるだけに、説得力があります。
今回紹介した長文原稿は、前半は、これまで特集で紹介した内容とかぶっているところもありますが、これまでの実証実験への見方なども示され、興味深いものとなっています。
日本で賛成されている方の多くは、行政コストへの不信感が強いのだと思います。私も巨額増税しない範囲なら賛成に近づきますが、そうするとBIは月々3-4万程度になるため、結局年金や医療や生活保護が必要になるため、行政コストが再びかかります。
今までの記事から、BIを導入する論拠は主に以下の2点と理解しました。
・BIによって「生きるための仕事」から、「自己実現のための仕事」への昇華による最終的な生産性拡大
・社会保障費のBI一元化による間接経費の削減
その前提として
・機械化、自動化による人間ができる仕事の縮小(生産性の向上)
よく分からないのが、財源は例えば1人月10万なら人口を乗じただけの支出が見込まれ、そこから削減できる社会保障費を控除した金額がネット予算になるかと思いますが、AIが人の仕事に取って代わるまでの期間や、置き換わった際の生産人口余剰、成長率の推移が一切予想できていない中で議論が一人歩きしている点です。