【佐々木紀彦】有料、リアル、人。メディア業界の「3つのトレンド」

2017/1/9

創り手のエクスタシー

2016年末のメディア業界は、DeNAの運営する医療メディア「WELQ」の話題でもちきりでした。
私がこのニュースを聞いてまず思ったのは、「こんなことをして、創り手の人たちは何が面白いのだろう」ということでした。
そもそもメディア(とくに報道・ニュース寄り)はさほど儲かるビジネスではありません。公益性が高く、NPO的と言いますか、民間企業と公的機関の間にあるような事業です。日本では、大手メディアの給与水準は高いですが、世界的には給料も低い業界です。
つまり、企業にとっても、個人にとっても、「お金」という点ではさほど旨味がないのです。
その一方で、(他の仕事は経験したことはないのですが)メディアほど面白い仕事はなかなかありません。コンテンツを創るエクスタシーは格別です。
すなわち、メディアで働く醍醐味とは、とにかく仕事が面白い、コンテンツ創りにワクワクできるという点にあるわけです。
それなのに、WELQの話を聞いていると、創り手がエクスタシーを感じられるポイントがどこにもない。そこにコンテンツが大好きな“コンテンツ野郎”の一人として、率直に驚きを感じたのです。