【阪根信一】主婦を洗濯物から解放する、「ランドロイド」の誕生秘話

2017/1/8
まだ、誰もやっていないことをーー。「世界初」の商品に情熱を注ぐseven dreamers labolatoriesは2017年春、洋服をすべて自動で畳んでくれるロボット「laundroid(ランドロイド)」を予約販売する。 また大手家電メーカーや住宅メーカーと協業し、洗濯、乾燥、折り畳みという主婦の仕事を、ロボットで解放する未来を描いている。開発に10年の歳月を費やした阪根信一社長に、人の生活を豊かにするロボットがどのように生まれ、どのように進化するかを聞いた。
「laundroid」誕生の原点
──laundroid誕生の、原点を教えてください。
2000年、起業家だった父親が設立した、高機能素材などを開発するI.S.Tという会社に就職しました。
元々は、米国のデラウェア大学で博士号(物理化学)を取得して、アカデミーの世界で教授になろうと考えていました。家業は「継ぐものか」と言っていたのですが、お願いをして、入れてもらったのです。
入社から、3年ほど経ったころです。私が新しいビジネスで成果を出すと、父親は「お前はもうできるな」と言って、会社を去ってしまったのです。
そこで私が経営者になった時、テクノロジーの力で、もっと人々の生活に密着したB2C(一般消費者向け)の商品を創り出そうと決めました。そして何を作るべきなのか、3つの基準を定めました。
「まだ誰もやっていない」「人の生活を豊かにする」「技術的なハードルが高い」
しかし基準を用意したのに、なかなかテーマがないんですよ(笑)。
2年くらい模索しても、見つかりませんでした。悩んだ末に、ある時に自宅に帰って嫁さんに、家庭内にあったら便利なモノはないかと聞いてみました。
そうしたら「そんなの洗濯物の折り畳みに決まっているじゃないの!」と言われたのです。
seven dreamers laboratories の阪根信一社長 (写真:後藤直義)
あれから10年間をかけて出来上がったのが、laundroidです。
もしあなたが4人家族だとすると、洗濯した衣類を畳んで、仕分けをするためだけに、生涯で合計9000時間、375日の時間がかかることになります。それを解消してくれるロボットです。
laundroidは全自動で、洗濯したくしゃくしゃの衣類を画像で認識して、ロボットアームで折り畳み、持ち主ごとに仕分けてくれます。