【田原総一朗】憲法改正と天皇陛下の退位問題はどうなるか

2017/1/7
日本の国内政治に関する「2017大予測」というお題をいただいたが、「憲法改正」と天皇のいわゆる「生前退位」(以下、退位)の動向に関心を持っている。
安倍首相の憲法改正に対する意欲
僕の見立てでは、安倍(晋三)首相は「今すぐ憲法改正をしなくていい」と思っている。
ここで、日本の安全保障について簡単に振り返ると、1960年に締結された日米安保条約は、「日本が他国から攻められたらアメリカが日本を防衛し、アメリカが攻められても日本は何もしなくていい」という、日本にとって大変都合のいいものだった。
なぜそれが可能になったかといえば、アメリカを中心とする西側とソ連を中心とする東側による冷戦下において、非常に深刻な対立があったからだ。日本は西側陣営の一番東側の国として、北朝鮮や中国などと対峙していた。安保条約は、アメリカが日本を守るためではなく、西側陣営の極東を守ることを意味していたのだ。
しかし、冷戦が終わると、アメリカは片務条約ではなく双務条約を求めてきた。つまり、「アメリカが攻められたら、日本も防衛しろ」と、その位置付けに変化が生まれたのだ。
特に1991年の湾岸戦争以降、アメリカは盛んに集団的自衛権の行使を求めてきた。2000年には、アーミテージが「集団的自衛権の行使をしないことが米日同盟の障害になっている」とした「アーミテージレポート」を出すなど、日本国内でも議論が高まりを見せた。
それらを経て2016年、集団的自衛権を行使できるようにする安全保障関連法が成立したわけだが、これはつまり違憲である集団的自衛権の行使を認めたことになり、事実上、憲法の解釈改憲を行ったことになる。
これに対してアメリカ政府も、集団的自衛権について何も言わなくなった。この決定に満足したのだ。だから、安倍首相も急いで憲法改正をする必要はないと考えていると思う。