【豊田剛一郎】医療サービス従事者の「信念」が問われる年に

2017/1/5
医療やヘルスケア領域のトレンドは、民間のプレーヤーの動きとともに、官の動きや方針にも大きく左右されます。例えば2015年にはストレスチェック制度の施行や、遠隔診療の実質的な解禁通知など官主導の大きな変化が起きましたが、2016年はヘルステック領域が沸くような大きな規制緩和などはありませんでした。
「ビッグデータや人工知能を最大限活用し、『予防・健康管理』や『遠隔診療』を進め、質の高い医療を実現していきます」
これは2016年11月の未来投資会議での安倍首相の発言ですが、新たなキーワードはなく、「ビッグデータ」「人工知能」「遠隔診療」といった従来の路線を具体化して推進していく方針であることがうかがわれます。
一方で、民間プレーヤーの動きとしては、8月に「IBM『ワトソン』が白血病の診断で医師を超えた!」というニュースが広がり、医療×AIに火が付きました。記憶に新しいところでは12月、DeNAが運営する「WELQ」の問題が引き金となり、医療メディア、ひいてはキュレーションメディアのあり方に関する議論が巻き起こりました。
新たな大規模な規制緩和などがない限り、ヘルステック領域の大きな流れは連続的であることから、2017年も引き続き従来の流れを押さえておくべきだと考えます。その中で、私が特に着目するのが3つのキーワード、「AI」「医療メディア」「遠隔診療」です。