【NYT】2017年を表すカラーは「グリーン」だ

2017/1/4
2017年を彩る色は何色なのか。ニューヨーク・タイムズのファッションエディター Vanessa Friedmanの答えは「グリーン」だ。

パントンが選んだ「グリーナリー」

2017年を表す言葉はどんなものになるかと質問すると、答えの多くには「トランプ」「ポピュリズム」「分断」「怒り」といった単語が入ってくる。
「グリーン」という単語はそうそうあがらない。
しかし、「色のグローバル・オーソリティー」を自認するパントン・カラー・インスティチュートによると、2017年はグリーンがいたるところにあふれるようだ。
当然ながら、昔からあるグリーンではない。パントンの色番号15-0343、「春の訪れを想起させるイエローグリーン」の「グリーナリー」だ。
それが、パントンが選んだ2017年の「カラー・オブ・ザ・イヤー」だ。
意識しないかもしれないが、グリーンはあらゆるものと関係がある。実質的にではなく、感情や想像の面においてだ。
「私たちが暮らす世界は、非常にストレスが多く、緊張に満ちている」と、パントン・カラー・インスティチュートのエグゼクティブディレクター、レアトリス・アイズマンは言う。
「グリーナリーは希望に満ちた色であり、自然とのつながりを表す色だ。regenerate(生まれ変わる)、refresh(よみがえらせる)、revitalize(新しい命を吹き込む)、renew(新しくする)など、『re(新たな、再び)』を意味する言葉も表す。春が来ると私たちは新たなサイクルに入り、新しい芽が大地から生まれる。生命を前向きにとらえる色だ」
別の言い方をすると、原因が大統領選であれ、市場の動向であれ、フェイスブック上の虚偽ニュースにだまされたことであれ、2016年があなたにとってひどい年だったとしたら、2017年はそれとは違ったものになる可能性があるということだ。
新芽が芽生えるような健全性を持ち、サイバースペースという孤立した人を遠ざける場所ではなく、地に足がしっかりと着いた状態で、私たちはみな新たなスタートを切ることができるという意味が、その色には込められている。

対立する社会における意味

パントンのチームがグリーンの流行の波に気づき始めた時は、米国史上初の女性大統領誕生の可能性が今秋に出てきたことを反映していると思われた。
しかし、大統領選でドナルド・トランプが勝利し、人々の対立を浮き彫りにした中で、グリーンは「より大きな意味を持った」とアイズマンは言う。
「このグリーン(グリーナリー)は独特な色だ。イエローとブルー、温かさとある種の冷たさが混在している。複雑な組み合わせだ」とアイズマンは言う。
それはおそらく今後の政治情勢を示唆しているのだろう。
パントンが2000年から毎年カラー・オブ・ザ・イヤーを発表するようになったのは、ある色が流行するときの人々の心理を明らかにし、「なぜこの色は今シーズンこれほど人気があるのか」というファッション業界の疑問に答えるためでもある。
パントンはカラー・オブ・ザ・イヤーに関連した商品を販売したり、選出された色を使用する他社にライセンスを与えたりはしておらず、この選出に直接的な販売目的はない。それゆえ同社はその影響を図るすべはない。
しかし、カラー・オブ・ザ・イヤーに選ばれた色は、米国民の傾向を示す指標のようなものになっている。