【津上俊哉】「痛み先送り」の中国経済を襲う2つのリスク

2016/12/29
経済にせよ政治にせよ、最近の中国は、万事が2017年秋の党大会に向けて「安定第一」で塗りつぶされている印象です。もちろん、それは党大会で決まるトップ人事の主導権を確保したい習近平政権の都合であって、現実がそのとおり動くかは別問題ですが。

問題含みの「成長重視」路線

経済面で「安定第一」を感じさせる点は2つあります。第1は「景気重視」の経済運営です。2016年の第1四半期は、公共投資を中心に投資・負債頼みの成長アクセルが踏み込まれました。比較的正直な経済指標を見ると、年前半の景気リバウンドが明らかに見てとれます(グラフ1)。