【鳩山玲人】進むメディア再編。2017年もディズニーが強い

2016/12/26
HBSで最も人気の授業
今のハーバード・ビジネススクール(以下HBS)の学生に“最も人気の高い授業は?”と聞くと、誰もが“Anita ElberseのStrategic Marketing in Creative Industries”と答える。
日本でもAnitaの著書の『ブロックバスター戦略』を紹介しているが、コンテンツを感性やクリエイティブだけで行うのではなく、ビジネスとしても理解し、捉えなおして、戦略やマーケティングを行っていくことを授業で取り上げている。
Anitaのこの人気授業では、Disney、Warner Bros.、NBCUniversalといった典型的なメディア企業を取り上げるだけでなく、スポーツ業界からも北米のMLB、NFL、NBA、欧州のセリエAのチームを幅広くカバーし、さらにマリア・シャラポアもケースとして取り上げる。
また、音楽業界からはLady Gaga、Beyonce、Jay-Zいった著名人、IT業界からはNetflix(House of Cards)やSpotifyをも取り扱う。そして、2016年はゲストとしてマリア・シャラポア本人やHip Hop業界のJay ZやKanye Westとも活動する大御所のDJ Khaled等が授業に参加。
さらに、彼女のexecutive education programの“Business of Entertainment, Media and Sports”には、Hip HopからLL Cool J、NBAのスター選手であるChicago Bulls(元Miami Heat)のDwyane Wadeが参加するといった具合だ。
従来、HBSというと、金融、コンサルティング、M&A、マーケティング、アントレプレナー、リーダーシップと、ビジネススクールらしい授業が人気を博していたことを考えても、珍しい現象が起こっている。
AnitaはHBSで要職(カリキュラム統括)にも就いている。これは、メディアコンテンツの世界全体へのインパクトが大きくなっている証拠に他ならない。
進むメディアの再編
2017年は、欧米メディアの再編がさらに進む可能性もありそうだ。
テレビや映画というエンターテインメントの中心産業だけでなく、インターネットメディアやモバイル戦略において、新しいメディアとコンテンツの展開から目が離せない。
思い起こせば、2016年は、通信とメディアとコンテンツの融合が目覚ましかった年だった。
2016年の秋くらいに通信大手AT&Tの経営幹部がシリコンバレーを訪れて、通信とテクノロジーとコンテンツの融和を説いていたことが地元で話題になっていた。