【求人掲載】10年後に生き残るデジタルマーケターには何が必要か

2016/12/30
KDDIのオープン領域における事業拡大推進を目的として設立されたSupership(スケールアウトとnanapi、ビットセラーの3社が合併)。設立して1年強のベンチャーだが、KDDIをはじめ、日本を代表する大企業の広告を手掛けるなど、急成長を遂げている。長期的なコミュニケーション戦略を軸とした、次世代のマーケティング手法を確立し、より付加価値の高い広告サービスを追求している同社。そこで働く最大の魅力は何なのか、広告事業本部の宮本裕樹氏と香山貴秀氏に話を伺った。

大企業とベンチャーの“いいとこどり”

──設立から1年がたちますが、あらためてSupershipの事業概要や戦略、いまの状況について教えていただけますか?
宮本 もともと2014年10月に、KDDIグループにおいてオープン領域での事業拡大を担う旗振り役として、Syn.ホールディングスという子会社が設立されました。さらにその傘下で事業をドライブさせるべく、中核企業として2015年10月に設立されたのがSupershipです。
当社の柱となっているのは、BtoCのメディア・アプリサービス、国内屈指のアドテクノロジーや運用型広告に特化した広告事業、それらを支えるDMP(Data Management Platform)、という3つの事業です。そのなかでも売り上げにおいて最も大きな比重を占めるのが広告事業です。
当社はデータ活用や運用型広告領域を支援できる体制を持っており、デジタルエージェンシー、トレーディングデスク、アドプラットフォームなど、デジタルマーケティングに必要なファンクションを提供しています。 
広告事業本部 事業本部長 宮本裕樹
──Supershipでマーケティングを行う醍醐味は何でしょうか。
香山 日本最大規模のデータを活用しながら、KDDIグループの各企業をはじめとした誰でも知っているような大企業のデジタルコミュニケーション戦略に関われる、企業のマーケティングパートナーである点です。
数百万~数千万規模のエンドユーザーに対して、年間数十億~数百億円規模での施策を企画・実施できるのはもちろん、クライアントが取り扱う商材が多岐にわたることから、幅広いノウハウや知見がたまっていきます。
また、質・量ともに日本最大規模のDMPを活用できる点も大きな特長です。少ないデータからの仮説ではなく、正確で膨大なデータから戦略を立案できるため、新しいやり方を確立しやすいのです。
クライアント側のマーケティング担当者も、常に新しいことをしようと、積極的に提案を求め、受け入れてくれるので、マーケッターとして非常に成長できる環境ですね。
宮本 大企業と協業できる一方で、設立から1年程度の新しい組織なので、スピード感を持って仕組みを作りながら、さまざまなビジネスを仕掛けられる。大企業とベンチャーの良いところが混在した環境というのも特長です。
香山 そうですね。個人を尊重した働き方も実現できます。責任は伴いますが、その分自由に考えて動くことが可能です。その結果、失敗してしまっても、反省して次に生かせばそれでいいという考え方ですから。新しい会社なので、しがらみも派閥もありませんし、いろいろなことにチャレンジしたい方は楽しいと思いますよ。
広告事業本部 デジタルエージェンシー事業部 マーケティングソリューション部 部長 香山貴秀
宮本 クライアントとの関係が非常にフラットなのもいいですね。指示されたことだけをする……といった一般的なクライアントと代理店の関係ではなく、パートナー企業とゼロからディスカッションしながらビジネス構築を一緒に進めていける、インハウスマーケティングの発想に近い役割を担っています。

データを活用したマーケティング事例

──お二人は現在、どのような業務に従事しているのでしょうか。
宮本 当社は大きく分けて、BtoB向けの広告事業とBtoC向けのメディア・アプリサービス事業の2つを展開しており、私は広告事業の統括をしています。
直近では、Facebookと世界初のSSPパートナーシップを結んだり、大手広告代理店である電通と提携してPMP(Private Market Place)に参入したりと、パートナー企業との新たなビジネスモデル構築などに携わっています。
Supershipは旧スケールアウト時代より、独自のアドテクノロジーを駆使して、DSP、SSP、DMPなどのアドプラットフォームを構築・運営してきました。
国内でも単一の広告プロダクトを専業で展開する企業はいくつかありますが、全てのプラットフォームを自社で提供する企業はほとんどなく、またクライアントからも「開発が内製なので対応が早い」と好評をいただくことが多いです。
日本発のアドテク企業として、世界に通用するプロダクトを作って提供していくことを目指しています。
香山 私は広告事業で、クライアントのマーケティング課題を解決するコミュニケーション戦略の立案・提案などを行っています。
具体的にしていることは4つあります。1つ目はストラテジックプランナーとしてコミュニケーション戦略の立案。「商品認知を高めたいが、どうすればいいかわからない」といったクライアントの課題を解決するための提案をしています。
2つ目は、企画やターゲットに応じたクリエイティブ制作。3つ目は、広告配信メディアを選定するための、最新情報の収集や実績のストック。そして最後が、それらの結果を分析・検証するためのダッシュボードづくりです。
10月に新設されたばかりの部署なので、複数の業務を同時進行で進めながら、日々チャレンジを続けています。
──これまでに手掛けたマーケティング事例には、どのようなものがありますか。
香山 最近ですと、携帯電話の長期利用者優遇プログラムの戦略立案です。デジタル広告のレポート分析結果をもとに、次の打ち手を提案。どういう人に、どんな訴求が響くのかをクライアントと一緒に議論しながら、さらにレスポンスを高めるための新たな戦略を練っているところです。
スポットで効果を最大化するのも大切ですが、エンドユーザーと長期的にコミュニケーションを図るためのストーリーを描き、常に次の戦略を考えるようにしています。

自身の高い成長を求めてSupershipへ

──あらためて、お二人のご経歴と、Supershipに入社した経緯を教えてください。
宮本 私は20代で専業系ネット広告代理店に入社し、主に事業開発を行ってきました。しかし一般的な広告代理店では、大きく投資してプロダクトを作ることが難しい。そこで2007年、KDDIグループでメディア・広告事業を行うmedibaに入社し、新しい広告商品を作る新規事業に従事しました。
その後、medibaがアドテクノロジー会社のスケールアウトを買収したことに伴い、同社の役員に就任。2015年にはスケールアウト、nanapi、ビットセラーが合併してSupership となり、現在に至ります。
会社は変わっても、KDDIグループの広告ビジネス周りに長年従事してきたことになりますね。
香山 私は新卒で大手通信教育会社に入社し、通信教材のマーケティングに携わってきました。当時はダイレクトメールなどの紙媒体による広告が中心で、企画立案からデータ分析、発送対象者のセグメント、デザイン、結果分析、検証、次の施策立案などを行ってきました。
7~8年がたち、会社としてデジタル領域を強化するべく立ち上げた、オウンドメディアやペイドメディアの責任者を務めることに。デジタルは紙と比べてPDCAサイクルが速く、表現手法もさまざまで面白いと感じるようになりました。
同時に、これからはダイレクトメールのようなプッシュ型ではなく、インバウンド的な発想でマーケティングを行う必要があると実感したのです。
そこで、よりスキルを身に付けるために、「インバウンドマーケティング」を掲げていた人材紹介会社に転職。そこでもマーケティングを担当し、経験を積みました。
しかし、今後もマーケティングに携わることを考えたとき、データ領域で物事を語れる人間にならないと、5年後10年後にマーケッターとして通用しないのではという危機感を持つようになりました。
より大きなところで、自由な環境で自分を磨きたいと考え、Supershipに転職しました。

売り上げも大幅成長、組織も拡大へ

──Supershipは、今後、マーケティング領域でどのようなビジョンを描いているのでしょう。
宮本 次世代のマーケティング手法を確立したいと考えています。従来の広告出稿は、コンペで発注する広告代理店を決定するのがほとんどでした。すると、一定期間で広告代理店が代わり、結果として広告主側にデータが蓄積されません。これは、直近重要視されているデータを活用したデジタルマーケティングにおいて致命的なことですよね。
Supershipでは、4~5年前から長期的なパートナーシップによる戦略的なマーケティングを進めています。独自の膨大な分析データを理解・活用することで、これまでどの会社もできなかった、長期的なコミュニケーション戦略をテクノロジーとデータによって実現していきたいと思ってます。
クライアントのニーズも、この1年から1年半にかけて変わりつつあるようです。スポット的な戦略や目先のコストで発注先を決めるのではなく、長期的にマーケティングを進めてくれるパートナーを求めていて、弊社への問い合わせがものすごく増えています。
香山 いかに顧客視点でデータを解釈できるか。そこが付加価値を生み出す最大のポイントです。ABテストでAかBを選択するのではなく、より良いCを提案するために、データを見て動向や傾向を分析していくのです。
具体的には、単に成果を出すだけではなく、文脈を生み出すことが必要です。クライアントの抱える課題やビジョンを理解したうえで、点ではなく線として戦略を描いていく。そして常にエンドユーザーとの最適なコミュニケーションを追求し続けることで、圧倒的な地位を築きたいですね。
宮本 Supershipは売り上げ・利益ともに大幅成長しており、2019年までにさらにデジタルマーケティング企業として、日本屈指のレベルまで大幅に成長させるという戦略および計画を練っています。
現在、広告事業本部には約140名が在籍。香山のいるマーケティングソリューション部は発足間もない組織ということもあり現在は5名程度ですが、1年後には15名まで増やしたいと考えています。

新しい広告のあり方を追求したい

──今後、どのような方と一緒に働きたいですか?
香山 設立間もない会社なので、組織的にも発展途上な部分が多々あります。しかしその分、建設的なディスカッションができる環境なので、意見を自由に言ってくれる方がいいですね。
そして、自社の売り上げよりも、エンドユーザーの幸せを考えられることが何より大事だと思っています。クライアントのお客様は、我々にとってもお客様。そういう思いで、自分たちに何ができるか考え、提案できる方と一緒に働きたいです。
宮本 チャレンジ精神が旺盛で、イノベーションを起こしたい方と一緒に働きたいですね。僕がmedibaに入社したときは、根拠はなかったけどキャリアのアセットを使って「グローバルで勝負できる広告プロダクトをつくる!」という高い志を抱いていました。それくらいの志を持った方がいいですね。
強みであるデータとテクノロジーをもっと強くして、しっかりとクライアントに向き合える広告会社になっていきたいと思っています。
香山 あとは、「ジブンゴト化」ができる方でしょうか。一見すると異なる内容でも、実は自分に関係あることが多くあります。「自分はここしかやらない」ではなく、何事もジブンゴトとして考えて協力し、助け合いや励まし合い、褒め合いができる方がいいですね。
これからのマーケティングは、ストーリーで語ることが重要です。例えばIoTでいろいろなものがつながったとき、一つひとつは分断されているように見えても、顧客からはストーリーになっているはずです。
ぜひ一緒に想像力を膨らませ、楽しみながら右脳と左脳を活用したマーケティングを行っていきましょう。
(編集:田村朋美、文:肥沼和之、写真:岡村大輔)