この連載について
プロピッカーとNewsPicks編集部のメンバーを中心に、NewsPicksに集ったプロフェッショナルが日々ウオッチしている専門分野の「2017年」を大胆に予測。ビジネス、テクノロジー、政治経済、世界情勢、そしてイノベーションなど、各カテゴリで2017年のトレンドになりそうなムーブメントや知っておきたいビジネスのヒントを指し示す。
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最近のISの情報発信はこれまで以上に激しくその頻度も上がっております。11月2日にはバグダーディー指導者自ら音声声明を発表して全面的な聖戦を呼びかけましたが、こうした呼びかけに応じてしまう人が、少数であっても一定数存在するのは否定できない事実であり、それ故このようなテロが起きてしまうことになるのだと思います。
2016年に起きたテロは、シリア・イラクのカリフ国家を攻撃されていることに対する報復として、①シリアから戦闘員を帰還させてテロを行わせる、②宣伝活動を通じて各国に住む支持者・同調者を洗脳してテロを行わせる(ローンウルフ型のテロ)、そして③ISに忠誠を誓う外国の武装組織と連携してテロを行う(ダッカの襲撃テロ)といったいくつかのパターンでなされました。
ISがシリア・イラクに引き続き領土を持ち、他国にも支部を拡大させ、こうしたプロパガンダ活動を続けている以上、2016年以来起きているテロのパターンは継続することが考えられます。むしろ短期的には、対IS掃討作戦が激化する中で、シリアからの帰還兵の数は増大し、プロパガンダ活動もエスカレートしているため、テロも激しくなることが予想されます。
そもそも彼らには、「もともと住んでいた地域に西欧が勝手に国境線を引いたのであって、それを取り戻すのは当然だ」から、極端な話が「十字軍への復讐だ」という独自の「大義」があり、(その妥当性はともかく)一応大義があるゆえに、世界中から、行き場のない人々を引き付けてきたのだと思います。
戦って打ち負かすというアプローチだけではテロはなくならないと思います。やはり、人々がISに引き付けられていく温床になっている貧困、教育、差別などの問題に、欧米各国が真剣に取り組むことがとても大事。欧州と違ってこの地域に歴史的責任を負わない日本が、戦闘に巻き込まれることは断じて避けるべきであり、あくまでも民生支援・人道支援に力を入れていくことが大事だと思います。
また、アメリカでは銃器を用いたテロやヘイトクライムが「引き続き」起きるだろう。銃規制をしなければならない局面に陥っているのにもかかわらず、頑なに銃規制を拒むことで新たな銃犯罪を生み出し、それをもってさらに銃規制を行わないという悪循環が続く。トランプ政権の要人や共和党指導者が銃撃事件にさらされても、アメリカ合衆国憲法修正第2条を盾に銃規制を行わない。
これまでは政府要人などを狙っていたテロ活動が、今や誰でもいい、つまりターゲットを絞り込む必要のない状態となっており、それが単純な方法による突発的なテロ行為を誘発していると言えます。
欧米あるいはそれらに与する、すなわち自分たちの敵とみなした地域なら、たとえ現場に彼らの言う「敬虔な」ムスリム同胞(彼らに言わせれば“欧米に傾倒した不信心者”なのかもしれませんが、信仰の有り様は誰にも決めつけられません)が居合わせるという可能性が僅かにあったとしても、とにかくぶち壊すことしか考えていません。
もはや「テロのためのテロ」、それがより深刻さを増す年になるような気がします。
こういった記事を読むと都度考えさせられます。
そもそも、ISが9.11のスピンオフからの派生、戦争で鍛えた兵士たちの受け皿であるというところから始まっており、明確に「この宗教を信じるから」というよりは「何となく」とかそういう理由で荷担している人が多そうな印象を未だに受けている。
日本にいるとどうしても現実味がない類の話となるが、、今の平和な世界に感謝しないと、と思わざるを得ない。