【野嶋剛】習近平の「独裁」は完成するのか

2016/12/24

「強人政治」への回帰か

中国にとって、2017年は節目の1年である。中国政治最大のイベントである5年に1度の中国共産党大会が開かれ、習近平体制が2期目に入るからだ。
注目すべきは「習近平独裁」が完成するかどうかの一点に尽きる。
もしそうなったとき、長年我々が慣れ親しんできた中国の「改革開放」政策の事実上の終焉を意味していると言えるだろう。
中国は近年、鄧小平、毛沢東に代表される革命の元老による強人(ストロングマン)政治から脱却し、集団指導体制を旨とする政治体制をとってきた。それは毛沢東の独走が招いた文化大革命に対する反省もあってのことだった。
同時に、長年中国人自身が問題だとしてきた「人治」からの脱却の試みでもあった。
中国では、憲法でも定められている共産党の指導的立場について一切の挑戦は許されない。共産党の下に国家が設けられるという、我々とは異質な政治体制なので、共産党の指導を否定することはできない、というのが建前だ。
人民解放軍、新華社、中央テレビなど、多くの重要な組織は党に属しているのであって、政府に属しているのではない。それが共産党の強みでもあり、弱みでもある。
民主主義に基づかない、つまり民意の基盤がない政治体制なので、民衆が共産党を否定したとき、民衆と共産党は対立してしまう。いままで民衆が共産党を支持してきたのは、日中戦争や国共内戦を経て、革命によって本当の「独立」や「国家統一」を勝ち取ってくれたからだった。