自動運転車の普及で所有割合43%減
自動運転車が実用化に向かいつつあるが、それはマイカーを所有しなくてもいい時代の到来を意味するかもしれない。
自動運転車は、消費者がこれまでに利用してきた移動形態を劇的に変え、マイカー所有に代わるオンデマンド自動運転タクシーの利用を促進すると業界専門家は予測している。
ミシガン大学交通研究所(UMTRI)が実施した調査では、自動運転車が普及すれば、アメリカの自動車所有割合は43%ほど減少する可能性があるとしている。
とはいえ、「マイカー時代の終焉」が必ずしも自動車メーカーの破滅を意味するわけではない。むしろ、消費者がマイカーをやめて自動運転タクシーの利用に切り替えることで、同業界が恩恵を受ける可能性もある。
コンサルティング会社KPMGの自動車業界アナリスト、ゲイリー・シルバーグはビジネス・インサイダーに対して「個人の移動距離が伸びれば、自動車の1時間当たりの走行距離も大幅に長くなる」と述べた。「それが自動車メーカーにとって大きなチャンスとなる」
自動運転車が普及すれば、より多くの人がタクシーなどの移動手段を利用するようになるとシルバーグは主張する。具体的には、65歳以上の高齢者と15歳以下の子どもが、今よりもっと自由に移動できるようになるというのだ。
シルバーグの調査レポートによると、こうした新たな需要によって、アメリカだけでも2050年までに個人の移動距離がさらに1兆マイル以上伸びる可能性があるという。
それがそのまま道路を走行する車両数の増加につながるわけではないかもしれないが、個人の移動距離の増加に伴って車の走行距離が伸びれば、買い替え率が高くなることが考えられる。
移動距離をビジネス戦略の対象にする
現在、個人所有の車の寿命は10年から15年程度だが、実際にはおよそ95%のあいだ、駐車されたままになっている。
しかし、人々がマイカーを持たなくなり、共有される自動運転車で移動するようになれば、自動運転車の使用率が急激に上昇することになり、それに応じて自動車の寿命は大幅に短くなるはずだ。
「自動車業界が、消費者の移動形態の変化に対応し、使用率の高い自動車を生産・提供できれば、巨大市場となるだろう。その規模は同業界がかつて見たことのないようなものになる」とシルバーグは話す。
ただし、自動車メーカーがこの新たなチャンスを本気で活かしたければ、現在のビジネスモデルを早急に進化させなくてはならないとシルバーグは言う。
自動車メーカーはこれまで、移動距離をビジネス戦略の対象として考えてこなかった。メーカーは単に自動車を生産し、あとは売るか貸し出すだけだった。
しかし、消費者がライドシェアサービスと自動運転車を利用する方向へと向かうことが現実味を帯びてきたいま、メーカー側は早急な対応を迫られている。
「素晴らしいチャンスだとは思うが、その変化に企業がどのように適応するか、適応は可能なのか、それをどう活かすかが問題だ。メーカー側は、この問題を解決できるのだろうか。変化に対応するためにビジネスモデルを改める方法を探り当てることができるのだろうか」とシルバーグは話す。
配車サービス向けに自動運転車を投入
多くの大手メーカーは問題解決に着手している。
たとえば、フォードは2021年にハンドルやアクセルのない「レベル4」の完全自動運転車を、ライドシェアなどの配車サービス向けに量産することを計画している。まずは一都市で試験プログラムを開始する。
その都市名は明らかになっていないが、北米のどこかになるだろうとフォードのリサーチ・アンド・アドバンスト・エンジニアリング担当バイスプレジデント、ケン・ワシントンは2016年8月にビジネス・インサイダーに語っている。
ゼネラルモーターズも配車サービス「リフト」との提携を通じて、ライドシェア業界に初の自動運転車を投入する計画だ。
具体的な投入時期はまだ公表されていないが、メアリー・バッラ最高経営責任者(CEO)は先ごろビジネス・インサイダーのインタビューに応え、消費者がマイカーより自動運転タクシーを選択すれば、メーカー側は自動車生産数を減らすことになるかもしれないが、それでもチャンスはたくさんあると語った。
「現在とは違うビジネスモデルがあると思う。たとえ自動車数が減っても、そのライフサイクルが短くなるか、自動車を現在とは異なるかたちで利用することで別のビジネスが生まれる」とバッラCEOは言う。
「ビジネスのあり方は変わるかもしれないが、それでもきわめて強固なビジネスの土台はまだあると考えている」
原文はこちら(英語)。
(執筆:Cadie Thompson記者、翻訳:遠藤康子/ガリレオ、写真:Alija/iStock)
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This article was produced in conjuction with IBM.