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民主党と共和党で二極化しているとのことですが、トランプ氏は、民主党でも共和党でもない感じが支持されたのではないかと思うので、そういう意味では米国は健全な選択をしたことになるのではないか。また、トランプ氏の勝利はポピュリズムであると断言することもできまい。「正しい」民主主義が、常にリベラルであるというのもある意味健全ではないと思う。僕自身はリベラル=自由と多様性が好きではあるが、時に行き過ぎたリベラルが修正されるのも健全な民主主義であると言わざるを得ないです。
フクヤマ氏のインタビュー、最終回です。1年前の予測が外れたことを指摘したときは、少々バツが悪そうな表情を浮かべていましたが、アメリカ社会・政治の「二極化」に、繰り返し警鐘を鳴らしていたのが印象的でした。

明日からはニーアル・ファーガソン氏のインタビューを4回に分けて掲載いたします。まったく違った切り口から話をされているので、引き続きお読みいただければ幸いです。
ポピュリズムとは「大衆主義」のことであり、国民に聞こえのいいことばかり言う「大衆迎合主義」ではないことに注意が必要です。
【国際】「「リベラルな民主主義」は、人々が統治し、一方で法の支配と市民権を保護するシステムによって制約を受けます。ポピュリズムはそれには当てはまりません」という指摘は重要。私はポピュリズムは人間の感情に基づくものであると考えているので、最近はこれを「情緒の民主主義」と認識するようにしている。

民主主義の根底には当然人間の情緒がともなうけれども、それが剥き出しの形にならないように抑制する機能を持っているのが法の支配や人権の尊重というものであると思う。ところがポピュリズムの政治においては情緒の方がより機能する、あるいは情緒のみが機能するようになり、法の支配や人権の尊重が歪められる。

「アメリカ政治の良いところは、賄賂のような違法行為が少ないことです。その理由は、アメリカには合法的に贈与をし、見返りを得るシステムがあるからです。政治献金に対するお返しとして、議員はロビイストの指名(bidding)ができるのです」という点は、最近よく指摘しているようにアメリカの政治が本質的に、"Authoritative allocation of resources"(希少資源の権威的配分)であり、"Government, of the winner, by the winner, for the winner."であることを示している。

記事末の「フクヤマ氏は「当時は、みんなそう思っていた」と弁明した」という部分を読んで思ったのは、トランプがアメリカを変えてくれると信じている人たちが4年後の大統領選、2年後の中間選挙の時に、あるいは数ヶ月後に言う言葉かもしれないということである。アメリカの政治制度や政治環境を考えると、トランプがやりたいことがなんでもできるわけではないのである。
リベラルな民主主義が、リベラルな民主主義以外を排斥するなら、そんなものは(本質的な意味での)リベラルな民主主義ではないでしょう。

私はこの話者の著作は読んだことはありませんが、このインタヴューを読む限り、こんな人が知の巨人と持て囃されるとは信じがたい。スタンフォード、大丈夫か?
フランシス・フクヤマ氏の軌跡をちょっと振り返ってみましょう。

(1)冷戦終了期に書かれた『歴史の終わり』が世界的なベストセラーとなり、ポスト冷戦時代の思想家として注目された。確かに、ベルリンの壁が崩れ、非民主的なソ連の体制が崩壊する時代にあっては、「自由と民主主義」の正当性が永遠であるという主張は大きな説得力を持った。

(2)だが、そのような「楽観」は長くは続かなかった。1991年の湾岸戦争から、2001年の911テロ、そしてアフガンやイラク戦争の時代へと進む中で、アメリカは「正当性の根拠」を問われ続けた。また、21世紀になっても途上国や中国の独裁体制が国際社会において大きな位置を占める中で、テロや内線の問題も深刻化し、必ずしも「歴史は終わっていない」という現実も見えてきた。

(3)それでもフクヤマ氏は「自由と民主主義の圧倒的な正当性」を主張し続けた。その主張は、時には「自由と民主主義」という正義を実現するためには「力の行使も辞さない」という、いわゆるネオコンの主張と重なった時期もある。

(4)2011年に刊行された『政治の起源〜人類以前からフランス革命まで』に続いて、2014年の10月に出した『政治的秩序と政治的腐敗〜産業革命から民主主義のグローバル化まで』では、「統治」「法の支配」「民主主義」の三点セットが機能することが政治的秩序であり、その一部が欠けるということは政治的な腐敗を招くという観点から近現代史の見直し作業を行っていた。

 ということで、現在位置の(4)からすると、ヒラリーさんの「違法メールサーバ」問題には厳しいということも、とりあえず納得はできる訳です。更に、この「三点セット主義」を掲げて、トランプ現象への批判者にも進もうかということですね。

 そう考えると、細かな発想法に「世代的な限界」が多少感じられるものの、「自由と民主主義」の正当性を主張しているということでは、最初から全くブレていないとも言える訳です。「歴史が終わった」というのはご本人も否定している通りですが、この人なりの一貫性というのは、やはり存在としては貴重と思います。
二極化(分極化)で支持層ががちがちに固まった中での「ウィスコンシン州、ミシガン州、ペンシルベニア州のわずか5万5000人」をうまく勝ち取ったトランプ氏。ぎりぎりの勝利に、アメリカ社会の閉塞感が見える気がします。
米国の社会状況の問題は、民主党と共和党の二極化だけではないと思う。富裕層と非富裕層の二極化、高等教育を受けられる者と義務教育段階で落伍する者との二極化、白人と有色人種の二極化、合法的移民と非合法の移民の二極化、キリスト教徒と非キリスト教徒(特のイスラム教徒)の二極化、自然科学の世界観を信認する者とそれを否定し宗教的教義に基づく世界観を信認する者との二極化などなど―。これはしかし、米国だけの現象ではない。米国という社会は、ある種わかりやすく極端な形で、私たちが生きる世界を示しているともいえる。現代米国社会を理解することは、来るべき世界のシナリオ作りに欠かせない。より良い社会デザインを考えるためにも、二極化しようとする私たちの心理を超える知恵を発揮する必要がある。
「リベラルな民主主義」の自己修正能力を信じたいが、これから4年間はアメリカ社会の二極化または多極化が政治的対立を深め、トランプの政策が結果的に支持者を裏切っていく過程で、多くの市民が苦境に追いやられることになりそうだ。その社会的コストは膨大なものになると思う。アメリカ市民の学習能力にも期待したい。
いまではフクヤマが、旧き良きリベラリズムの体現者のようにも読めてしまう。
この連載について
下馬評を覆しての「トランプ圧勝」。トランプ大統領の誕生は、世界の大きなターニングポイントになる。トランプ後の世界はどんな世界になるのか。経済・日米関係、米中関係、米ロ関係などの切り口から将来を展望する。