【フランシス・フクヤマ】トランプ現象を招いた「政治の衰退」
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遂に知の巨人、フランシス・フクヤマ氏の登場ですね。
共和党が大企業の代弁者となり、一方民主党はマイノリティの代弁者となった。
その結果、大多数を占める労働者階級との接点を両党ともに失ってしまったのだ、という指摘は、トランプ現象の前哨戦となったサンダース旋風を見ても、成る程頷けるものがあります。
つまりトランプ氏は実際には共和党でも民主党でもない、第3党であって、二大政党がすべからく国民の利益を代表してきた従来のアメリカ政治の終わりを象徴しているとも言えるということでしょうか。
ではその後がどうなるのか?
次回以降の連載に期待したいところですね。フクヤマ氏のインタビューは「アメリカ内政、外交、そして民主主義全般に与える影響」の3部構成で聞きました。
アメリカ内政については、槍玉に上がったのはウォール街などの「利益団体」。フクヤマ氏は「さまざまな利益団体が自分たちを守るために特別条項を入れていったため、アメリカの税法は1万ページにも及ぶ」と語り、それが政治の衰退を招いた象徴例と指摘します。
主著『政治の起源』にも、同じように衰退していった様々な政体の事例が書かれており、アメリカもその一つになりかねない、と警告しているように見えました。かつてフクヤマ氏の『歴史の終わり』を読んだ時は随分と西欧中心主義の議論だなと感じました。
(この辺りは浅田彰氏とフクヤマ氏の93年の対談本『歴史の終わりを超えて』でもちょっと揶揄されています。)
しかし今回のインタビューを読むと、フクヤマ氏も「歴史はまだ終わっていない(むしろはじまった?)」という認識ですね。すごく乱暴で卑近な例だと、「ノー残業day」を導入したら「長時間労働の歴史」が終わる訳ではない。むしろ運用が大事。
民主主義もその是非を問う勝ち負けフェイズでは「終わった」のかもしれませんが、「運用は結構難しい」という事が共有されつつあるのでしょうね。