【タイラー・コーエン】トランプ流「インフラ投資計画」の問題点

2016/11/18
トランプ政権が経済成長戦略の目玉として掲げる「インフラ投資計画」。本当にインフラ投資は米国経済にプラスに働くのか。その真のリスクについて、『大停滞』『大格差』の著者である、タイラー・コーエン・ジョージ・メイソン大学経済学教授が分析する。

「GDP増加=効果的」ではない

バラク・オバマ政権下では、保守派の大半は景気刺激策に反対し、リベラル派の大半は賛成していた。そして、次期大統領に選出されたドナルド・トランプが財政支出を拡大させると提案した今、多くの評論家は反対派に転じようとするだろう。
このようにイデオロギーが混乱する中で、私たちが明確にしておかなければならないのは、財政支出が実際に経済を刺激するのはどんな場合なのかということだ。
第一に、国内総生産(GDP)の増加に惑わされてはならない。トランプの景気刺激策もおそらくGDPを押し上げるだろうが、かといってそれが効果的だという意味にはならない。