シェイクスピアにジェームズ・ボンド、トム・クランシー
 歴代アメリカ大統領の多くは、熱心な読書家と評されている。
 ニューヨーク・タイムズに掲載された記事によれば、ジミー・カーターの読書スピードは1分あたり2000語。フランクリン・ルーズベルトの個人蔵書は1万5000冊にのぼっていたという。バラク・オバマ現大統領も、最近の愛読書のリストをたびたび公開している。
 とはいえ、史上最高の1冊を選ぶのは難しいものだ――アメリカ大統領をもってしても、それは変わらない。シェイクスピアを選んだ大統領もいれば、ジェームズ・ボンドに夢中だった大統領や、トム・クランシーのスリラーに目がなかった大統領もいる。
 ここでは、ジョン・F・ケネディからオバマまで、歴代アメリカ大統領の――そして2016年の大統領選を戦った候補者たちの愛読書を紹介しよう。
リンカーンは『マクベス』、ケネディは『007/ロシアから愛をこめて』
(1)エイブラハム・リンカーン:『マクベス』
 エイブラハム・リンカーンは演説の名手として有名だ。とくに、1863年の奴隷解放宣言と、雄弁でありながら簡潔なゲティスバーグ演説は名演説として知られる。
 リンカーンがウィリアム・シェイクスピアの大ファンだったのも頷けるだろう。リンカーンは俳優のジェームズ・H・ハケットに宛てた手紙に「『マクベス』に並ぶ作品はない」と書いている(邦訳:新潮社 他)。
*出典:モルガン・ライブラリー&ミュージアム、フォルジャー・シェイクスピア・ライブラリー
(2)セオドア・ルーズベルト:『マハン海上権力史論』
 セオドア・ルーズベルトは、とりわけアメリカ海軍次官として老練な戦略家ぶりを発揮していた時代に、アルフレッド・T・マハンの『マハン海上権力史論』(邦訳:原書房)を高く評価していた。
*出典:ニューヨーク・タイムズ、アメリカ国務省広報局歴史部、『Theodore Roosevelt, the U.S. Navy and the Spanish-American War』
(3)ハリー・S・トルーマン:『Great Men and Famous Women』
 ハリー・S・トルーマンは10歳のときに母親から『Great Men and Famous Women』を贈られたが、この本がのちの大統領に影響を与えたことは明らかだ。
 トルーマンはこの本について「偉大な男性たちや高名な女性たちの人生に夢中になった。そういった人々をめぐる物語を、見つけられるものなら何でも読んだ」と書いている。
*出典:アメリカ国立公園局、ハリー・S・トルーマン・ライブラリー&ミュージアム
(4)ドワイト・D・アイゼンハワー:『アーサー王宮廷のコネチカット・ヤンキー』
 ドワイト・D・アイゼンハワーは娯楽として西部劇ものを読んでいたが、マーク・トウェインの古典的作品『アーサー王宮廷のコネチカット・ヤンキー』(邦訳:彩流社 他)も愛読していた。
*出典:ドワイト・D・アイゼンハワー・プレジデンシャル・ライブラリー
(5)ジョン・F・ケネディ:『007/ロシアから愛をこめて』
 報道などで広く知られていることだが、ジョン・F・ケネディは007シリーズを片っぱしから愛読していた。キューバ危機の際に「私のスタッフにジェームズ・ボンドがいればよかったのに」と言ったことは有名だ。
 そんなわけで、ケネディが愛読書の1冊として『007/ロシアから愛をこめて』(邦訳:東京創元社)を挙げていたのも当然だろう。
*出典:ジョン・F・ケネディ・プレジデンシャル・ライブラリー、ハフィントンポスト
ブッシュは『戦争と平和』、クリントンは『自省録』
(6)ジミー・カーター:『Let Us Now Praise Famous Men』
 ジミー・カーターは、ジェームズ・エイジーの『Let Us Now Praise Famous Men』を愛読書の1冊に挙げている。その理由は、極度の貧困のなかで生きるアメリカ人に光を当てているからだという。
*出典:アカデミー・オブ・アチーブメント
(7)ロナルド・レーガン:『レッド・オクトーバーを追え』
 トム・クランシーはベストセラーとなった数々のスリラーで知られているが、クランシー自身がその成功をロナルド・レーガンのおかげだと考えていたことについては、ご存じない方もいるかもしれない。
『レッド・オクトーバーを追え』(邦訳:文藝春秋)は、レーガンが誉めた直後に「ニューヨーク・タイムズ」のベストセラーリストに躍り出た。
*出典:トム・クランシーの公式サイト、USニューズ&ワールド・レポート
(8)ジョージ・H・W・ブッシュ:『戦争と平和』
 ジョージ・H・W・ブッシュは、あるインタビューのなかで、トルストイの『戦争と平和』(邦訳:岩波書店 他)を2度読んだと語り、「人生について多くのことを教えてくれた」と話している。
*出典:アカデミー・オブ・アチーブメント
(9)ビル・クリントン:『歌え、翔べない鳥たちよ――マヤ・アンジェロウ自伝』と『自省録』
 ビル・クリントンは2003年に公開した愛読書リストのなかで、マヤ・アンジェロウの『歌え、翔べない鳥たちよ―マヤ・アンジェロウ自伝』(邦訳:立風書房)と、マルクス・アウレリウスの『自省録』(邦訳:講談社 他)を挙げている。
*出典: CBSニュース/AP通信
(10)バラク・オバマ:『自己信頼』と『ソロモンの歌』
 バラク・オバマのおすすめ本リストを見るかぎり、同氏はあらゆるジャンルの本を読んでいるようだ。なかでも、ラルフ・ウォルドー・エマソンの『自己信頼』(邦訳:海と月社)と、トニ・モリスンの『ソロモンの歌』(邦訳:早川書房)は、つねに愛読書に挙げられている。
*出典:ポリティコ、インサイダー、ハフィントンポスト
2016年大統領選の候補者たち
(11)ヒラリー・ロダム・クリントン:『カラマーゾフの兄弟』
 前国務長官で民主党大統領候補のヒラリー・ロダム・クリントンは、若いころにドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』(邦訳:新潮社 他)を読み、深い感銘を受けたとニューヨーク・タイムズに語っている。
*出典:ニューヨーク・タイムズ
(12)ドナルド・トランプ:『西部戦線異状なし』
 共和党大統領候補のドナルド・トランプは、愛読書を問われたとき、史上最高の本の1冊として、レマルクの『西部戦線異状なし』(邦訳:新潮社)を挙げた。
*出典:ハリウッド・レポーター、エンターテインメント・ウィークリー
原文はこちら(英語)。
(執筆:Kelsey Mulvey記者、翻訳:梅田智世/ガリレオ、写真:William Blacke/iStock)
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