【小泉悠】ロシア、「好都合」のトランプ勝利を歓迎
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世界に大きなショックを与えたトランプ候補の当選について、ロシア側の視点からそのインパクトを考察してみました。記事中でも述べた通り、今のロシアはトランプ政権の孤立主義的な政策に期待を膨らませているところですが、実際の方向性はまだ未知数です。
今後、ロシアがトランプ政権とどう付き合っていくのか、特にウクライナ・シリア問題でどう折り合いをつけるのかが焦点になってくると思われます。緊急特集「トランプ後の世界」、本日はプロピッカーでロシア研究者/軍事アナリストの小泉悠さんの寄稿を掲載します。トランプ当選後のロシアの反応がコンパクトにまとまり、目下、日露関係の最大の関心事である安全保障情勢に与える影響、今後見ておくべきポイントについて解説されています。是非、お読み下さい。
なお、10月下旬に発売されたばかりの小泉さんの新著『プーチンの国家戦略 岐路に立つ「強国」ロシア』(東京堂出版)はロシアを理解するためにおすすめです。ロシアの内政・外交、社会についての総合的な理解があるからこそ、立体的にロシアが見えてくる良書です。非常に分かり易い記事です。この記事でロシア側がヒラリークリントンを警戒していたという点に触れられていますが、私もこのロシア側の分析と同じように、ヒラリーが大統領になっていたら、シリアにおいて対露強硬策をとり、今よりも危険な状況になると思っていました。トランプ氏がロシアとの協調路線をとったとしても、これまでの同盟国との摩擦が生じることで別のリスクが生まれるのですが、米露がぶつかるよりはましだと思っています。
議会の多数派を握った共和党の中には対露強硬派が多いですし、そう簡単に対露政策をシフトできるかどうかわかりませんが、トランプ氏が伝統的に米国の対外政策の決定に影響を与えてきたロビー団体だとか様々な国内のアクターから、ヒラリーと比べればはるかに自由であることは間違いないと思いますので、それ自体をプーチン辺りは歓迎しているのではないかと思います。
トランプ氏の安保問題のアドバイザーであるマイケル・フリン氏も、非常に斬新で軍人とは思えないようなこれまでにない発想をする人ですので、トランプ新政権での米露関係がどう動くか、注目したいと思います。