【小泉悠】ロシア、「好都合」のトランプ勝利を歓迎

2016/11/15

「同志トランプ」の誕生

2016年11月9日、米国大統領選挙においてドナルド・トランプ候補の当選が確実となると、ロシアは歓迎ムードに包まれた。
極右政治家として知られる自由民主党のジリノフスキー党首などは、議会内でシャンパンを議員や記者たちに振る舞ったほどである。
これは「ロシア版トランプ」とも言われるジリノフスキー氏一流のパフォーマンスだ。
プーチン大統領も各国首脳の中で真っ先にトランプ氏に祝電を掛けるなど、ロシアの政治コミュニティが与野党ともにトランプ当選を歓迎したことは間違いない。
トランプ氏は選挙期間中、カツラ疑惑を払拭(ふっしょく)するためにテレビの司会者に頭をなでさせたことがあるが、ロシアのインターネットではそのコラージュ画像が出回った。
司会者の顔がプーチン大統領にすげ替えられ、「よくやったぞ、同志トランプ!」というセリフ付きで頭をなでているというものだった。