ソフトバンク孫社長:テクノロジー業界のバフェット氏目指す
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注目のコメント
今回のポイント、ソフトバンクが以前と変わった点は以下2点だと思います。
1 事業会社から投資会社へ
従前その傾向は強かったものの、一貫して孫さんは事業シナジーを強調して、投資会社と呼ばれる事を避ける傾向があった事は明らかでした。しかし今回で一転、むしろ自ら投資会社宣言をしました。これで名実が合致してスッキリした感があります。
2 自己資金投資からファンド投資へ
今後は100億円規模以上の投資はファンド経由と明言しました。多額の借金をしてまで自己資本投資をしてきたこれまでとは大きな質的変容です。
皮肉にも孫さんが目指すと言うバフェットのバークシャーハサウェイはファンドではなく自己資本投資です。
借入をしてレバレッジを効かせてハイリスクハイリターンの投資をすれば成功した場合のリターンは高いですが、ファンド投資はその真逆です。
リスクを外部化する替りにリターンも下がるからですが、実は最大の違いは時間のリスクです。ファンドには満期があり、アリババやヤフーを15年でも20年でも持ち続けると言った事が出来ないからです。
孫さんが今回含め毎回自慢している高リターンは自己資本投資だからこそなしえ、ファンドマネジメントからは高リターンは望めない事はプロなら常識ですが、それでも、AI/IoTの新パラダイムにおける自社生態系の拡大を金融リターンより優先させた判断とも言えるでしょう。「ソフトバンクは『株式会社の皮を被ったバイアウトファンド』」と何度かコメントしてきましたし、携帯電話会社というドル箱を持って自社のBSから投資し続けるという面ではバークシャーに近いとも思っていましたが、公式に宣言されたということですね。株式会社が巨大化した末の当然の帰結ではあります。
ただ、ファンド組成によって、かえってバークシャーのスタイルからは離れていってるようにも見受けられます。ファンド組成によって大量に資金調達ができた反面、償還期限が設定されているのでしょうから出口を探さねばなりません。
また、バフェットは過去に株主への手紙で運用額が大きくなったことで過去と同程度のパフォーマンスを発揮することは不可能になったと述べていますが、この規模のお金、一体どうするんでしょうか。かえって案件が絞られてしまいますし。そこは何かしらの目算があるのでしょうが、半ばSFめいた規模感の大きいストーリーに張り続けないと成立しないのでしょうね。
巨大なグロース投資というものが成り立つのか、興味深いです。10兆円規模でできる投資活動は、ホワイトスペース。競争のない領域ではある。数千億円のファンドでも稀だし、数百億円になるとそれなりに出てくる。シードやエンジェルに至っては無数。ファンドサイズが小さいほどに、競争が激しく、リスク特性も上がっていく。1兆円の会社を10社、5000億円の会社を20社とポートフォリオを絞り込んだイメージなら、結構、面白い発想で投資できるかもしれない。